もし65歳1ヶ月で亡くなったら?というお話です。条件は、自営業(国民年金)のみ40年。夫婦子供なし、または子供が18歳到達年度以上。亡くなるのは夫で、やっと老齢基礎年金をもらいはじめたところだとします。
答え:老齢基礎年金1か月分のみです
このケースでは、40年年金を納めてきて、生涯でもらえた年金は約6万円ということになります。実際には支給日前の死亡となりますので、妻が老齢基礎年金の1か月分の未支給年金を請求して終了です。
要件の軽い死亡一時金は?
国民年金加入3年以上であって年金をもらう前に死亡した時に、遺族に死亡一時金が支給されますが、この場合、1ヶ月でも老齢基礎年金をもらえているわけですから死亡一時金の受給権はありません。
死亡一時金は国民年金加入3年以上で12万円、35年以上で32万円ですが、結果的にそれよりも少ない年金しかもらえないということになります。せめて、死亡一時金の金額に満たない額しか年金を受け取っていない場合は、死亡一時金の額くらいは最低保障して欲しいところですが。
遺族基礎年金は当然支給されません
遺族基礎年金は「子供のいる妻」か「子供」にしか支給されませんので、もともと国民年金の加入期間しかない子供がいない夫婦には、遺族基礎年金の受給権は発生しません。
寡婦年金も65歳までです。
寡婦年金は国民年金の第1号被保険者として25年以上保険料を払っていて10年以上夫婦である場合に、妻が60歳から65歳になるまで支給されるものですが、夫が老齢基礎年金をもらえるようになったので受給権は発生しません。
寡婦年金の存在意義の中に、「掛け捨て防止」というものもあることは確かですが、たった1ヶ月の老齢基礎年金の受給ですから、ほとんど掛け捨てと同じ気持ちです。
厚生年金なら遺族厚生年金がありますが
夫に厚生年金の期間があれば妻に遺族厚生年金が支給されたところですが、上記のように、このケースではなにも受給することができません。
夫が老齢基礎年金の請求手続をしていなかったら?
同じことです。年金は手続をしなくても、一定の要件に合致していれば受給権自体は発生するため、65歳になった時点で、死亡一時金等の受給要件はなくなることになります。
損得でも積立でもないのが年金ですが
40年保険料を払ってきて、もらえた年金はたった1ヵ月分だけ。
オーバーな例えですが、60歳にもなれば病気にも掛かりやすい年齢ですから、これに近い状況というのは十分に考えられます。
年金は損得の話ではありませんが、厚生年金の場合と比較して、どうしても国民年金の保障の手薄さ、偏りを感じてしまいます。