- 1位 「非正規雇用、請負形態等への切替」:62.1%
- 2位 「賃金調整を行なう」:47.7%
- 3位 「従業員の調整を行なう」:41.2%
これは、社会保険料負担が一定程度上昇した時に企業がどのような行動をとるかというものを示したものです。(経済産業省が2004年に行なったアンケート結果の一部(中堅・中小企業の回答)から)
現役世代が、比較的収入の少ない派遣社員やパートばかりになってしまえば、社会保険を支柱がぐらつき、将来無年金・低年金の人が増えれば生活保護など社会保障費が増大する可能性もあります。
しかし、厚生年金の保険料は2017年度には18.30%になることが決まっており(2004年9月までの13.58%と比較すると4.72%の引き上げ)、原油資源等コスト高・消費冷え込みなど企業をとりまく外部環境の悪化とあいまって、特に体力のない中小企業においては雇用環境がますます悪化することは必至です。
ここでは、経済産業省「企業活動と公的負担に関する緊急調査について(平成16年10月)」(PDFファイル)の中から中堅・中小企業のアンケート結果を抜粋し、社会保険料が企業に与える影響等をみていきます。
社会保障制度・社会保険料に対する不満
中堅・中小企業252社の回答(複数回答)のうち、社会保障制度・社会保険料に対する不満のワースト3は次のようになっています。
- 1位 「保険料がたびたび上がり、先止まり感がない」:72.6%(183社)
- 2位 「社会保険料が高い」:67.5%(170社)
- 3位 「事業環境が悪化した時であっても負担が生じる」:44.0%(111社)
このうち1位については、平成16年年金改正で保険料の上限が固定されることになったために先行き不透明感は解消されましたが、2017年度からの上限18.30%(労使折半)という数字については異論もあり、日本経団連などは、企業の人件費負担の現状や将来の勤労者世帯の家計負担、および医療・介護など他の社会保険料など考え合わせると厚生年金の保険料は15%が限界だと提言しています。
社会保険料負担の上昇と企業行動
現状から何%社会保険料負担が上昇すると、最初に示したよとうな「非正規雇用、請負形態等への切替」等、企業行動に変化を生じざるを得なくなるのかという問いに対しては、~5%までの上昇で企業行動に変化を生じさせるという答えが過半数を占めています。(回答227社)
- 「現状より少しでも上がれば変化を生じざるをえない」:22.0%
- 「現状から1~4%上昇」:3.5%
- 「事業環境が悪化した時であっても負担が生じる」:27.3%
なお、「10%上昇」が30%となっており、10%の回答までを入れると4分の3を超える企業が、企業行動の変化を起こさざるをえないと回答しています。(大企業も10%までで4分の3を超える)
高齢化に伴う今後の費用負担は?
年金について「今後高齢化に伴い、増加が見込まれる費用について、どのような負担構成で賄うことが望ましいか」という問いに対する上位3つの回答は以下のようになっています。(回答240社:複数回答)
- 「間接税(例えば消費税)の引き上げを中心に賄う」:58.3%(140社)
- 「民間活力を活用し、民間保険や自助努力によって賄う」:22.9%(55社)
- 「保険料の引き上げを中心に賄う」:8.3%(20社)
以下、「直接税(例えば法人税)の引き上げを中心に賄う」が4.2%(10社)と続きます。
なお、医療(とりわけ老人医療)と介護についても1位は「間接税(例えば消費税)の引き上げを中心に賄う」となっています。