パートや派遣、嘱託など雇用形態に関係なく、その賃金は都道府県ごとに定められた最低賃金(地域別産業賃金)を下回らないように定められています。(業種によっては地域別最低賃金を上回る水準が設定されている産業別最低賃金が適用)
地域別最低賃金は毎年10月頃に改定されて適用されるものですが、参考までに平成19年10月改定の地域別最低賃金を記しておきます。
※GoogleやYahooで「地域別最低賃金」と検索すれば、厚生労働省の最新の地域別最低賃金と産業別最低賃金が一覧できます。
平成19年10月改定の地域別最低賃金(時間額)
平成19年10月(日にちは一律ではない)に改定された全国都道府県の地域別最低賃金(時間額)は次のようになっています。※次回(平成20年10月頃)改定まで効力。
- 北海道=654円
- 青森県=619円
- 岩手県=619円
- 宮城県=639円
- 秋田県=618円
- 山形県=620円
- 福島県=629円
- 茨城県=665円
- 栃木県=671円
- 群馬県=664円
- 埼玉県=702円
- 千葉県=706円
- 東京都=739円
- 神奈川県=736円
- 新潟県=657円
- 富山県=666円
- 石川県=662円
- 福井県=659円
- 山梨県=665円
- 長野県=669円
- 岐阜県=685円
- 静岡県=697円
- 愛知県=714円
- 三重県=689円
- 滋賀県=677円
- 京都府=700円
- 大阪府=731円
- 兵庫県=697円
- 奈良県=667円
- 和歌山県=662円
- 鳥取県=621円
- 島根県=621円
- 岡山県=658円
- 広島県=669円
- 山口県=657円
- 徳島県=625円
- 香川県=640円
- 愛媛県=623円
- 高知県=622円
- 福岡県=663円
- 佐賀県=619円
- 長崎県=619円
- 熊本県=620円
- 大分県=620円
- 宮崎県=619円
- 鹿児島県=619円
- 沖縄県=618円
地域別最低賃金は時間額
地域別最低賃金は時間額での定めとなるため、日給で働いているような場合には、これを1時間あたりの金額に換算して比較することになります。
例えば北海道の会社で働く田中さんが、日給5,000円、1日の所定労働時間7時間30分で働いているとします。
この場合、「日給額÷1日の所定労働時間」を計算し、1時間あたりの賃金を北海道の地域別最低賃金(654円)と照らし合わせます。
5,000円÷7.5時間≒666円66銭>654円
(最低賃金を上回っている)
ところが、同じ条件でも東京の会社で働いているとすると、
東京都の地域別最低賃金は739円なので、
5,000円÷7.5時間≒666円66銭<739円
(最低賃金を下回っている)
となります。
【月給製の場合は?】
月給制の場合も時間に換算する考え方は同じです。
・月給12万円
・所定労働時間1日8時間
・年間所定労働日数250日
だとすると、
月給12万円×12か月/年間所定労働日数250日×1日8時間
=144万円/2000時間
=720円
これも上の例で言えば、北海道(最低賃金654円)ならセーフですが、東京(最低賃金739円)ならばアウトになります。
最低賃金の対象にならない手当等
最低賃金の対象となる賃金は、基本給や営業手当など基本的な賃金に限られ、次のようなものは最低賃金の対象からは除かれます。
- 結婚手当など臨時の賃金
- 賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 残業代(時間外割増賃金)
- 休日割増賃金
- 深夜割増賃金
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
例えば、残業代を抜いて時間換算したら最低賃金を下回ってしまう・・・これは許されないということになります。
地域別最低賃金が適用にならない労働者
地域別最低賃金は、派遣やパートなど雇用形態を問わず、原則すべての労働者に適用されますが、下記労働者について使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の適用除外が認められています。(「最低賃金適用除外許可申請書」を事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出)
- 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方
- 試用期間中の方
- 認定職業訓練(事業主等の行う職業訓練の申請を受けて、都道府県知事が認定を行った訓練)を受けている方
- 所定労働時間が特に短い方、軽易な業務に従事する方、断続的労働に従事する方
なお、最低賃金についての問い合わせ先は、各都道府県の労働局もしくは最寄りの労働基準監督署になります。
最低賃金がより重要なものに
これまで最低賃金の引き上げは前年比でいくら上げるかということを焦点として行なわれ、世界的に見て低い水準ながらも、絶対額云々という話はあまり聞かれませんでした。
しかし、今や最低賃金水域で働く労働者が一変。既婚女性や学生アルバイトを主体とした背後に経済的支援者のいる労働者ではなく、25歳、30歳もしくはそれ以上の年齢で、経済的な支えなく自立して生活していかなければならない非正規労働者が増加。最低賃金への目線は明らかに変わってきました。