厚生年金は70歳未満の会社員、国民年金は任意加入で頑張っても70歳未満でさようなら。しかし、厚生年金については年金の受給資格期間の足りない人に限り、70歳以上でも年金の受給権獲得まで任意で厚生年金に入ることができるのです。
2つの高齢任意加入被保険者
70歳以上も任意で厚生年金に加入できる高齢任意加入被保険者は、会社自体が厚生年金の適用事業所かどうなのかによって、手続や保険料負担に差が生じます。
いつまで高齢任意加入被保険者になれるのか
70歳以降でも厚生年金に加入できる高齢任意加入被保険者は、老齢・退職を支給事由とする年金たる給付で、「政令で定める給付」の受給権を有しないものが、受給資格期間を満たすまで任意加入することができるとされています。政令で定める給付は次の通りです。
- 老齢厚生年金
- 老齢基礎年金
- 退職共済年金
- 旧国民年金法、旧厚生年金法、旧船員保険法等による老齢年金、通算老齢年金
- 恩給法による退職を支給事由とする年金たる給付
- 国会議員互助年金法による普通退職年金
老齢年金等の受給権者は、高齢任意加入被保険者になることはできませんが、遺族給付や障害給付の受給権者でも、高齢任意加入被保険者になることはできます。なお、受給資格期間とは、年金をもらえる最低限の条件である、原則25年の年金加入期間をいいます。
【 厚生年金の適用事業所の高齢任意加入被保険者 】
手続
社会保険庁長官へ申出
※事業主の同意は絶対条件ではありません。
保険料の負担と納付義務
原則は、被保険者が全額負担、納付義務を負いますが、事業主が同意したときは、事業主が半額負担、納付義務を負います。
つまり、やさしい事業主ならば、「どうぞ、同意します(半額負担も納付手続も負います)ので、高齢任意加入被保険者になってください」ということになりますが、そうでない事業主は、「なんで、厚生年金の適用が外れた70歳以上の人の面倒を見ないといけないんだ!同意なんてまっぴらごめん。」というようなことになります。
なにしろ、70歳以上は厚生年金の適用外ですから、同意するもしないも事業主の胸一つ。というよりも、よっぽど親しい関係や間柄にない限り、同意は考えにくいと思います。
高齢任意加入被保険者の資格取得日
社会保険庁長官が、高齢任意加入被保険者の申出を受理した日
高齢任意加入被保険者の資格喪失日
次に該当するときは、その翌日に高齢任意加入被保険者の資格を喪失します。ただし7は7の日、また、7以外に該当した日にさらに被保険者の資格を取得した時は、その日に資格を喪失します。
- 死亡した時
- 事業所に使用されなくなったとき
- 適用除外の規定に該当したとき
- 任意適用事業所の適用取消の認可があったとき
- 政令で定める給付(老齢年金)の受給権を取得したとき
- 資格喪失の申出が受理された時
- 保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を督促状の指定期限までに納付しないときは納付期限の属する月の前月末日
2は、会社等を辞めたとき。3は、社員からパートになるなど、厚生年金の適用のない働き方になる場合、4は、やや難しいが、高齢任意加入被保険者の規定である法附則4条の3(対象は厚生年金の適用事業に使用される70歳以上の者)から、法附則4条の5(対象は、厚生年金の適用事業以外にしようされる70歳以上の者)へと適用が移る。5は、老齢年金の受給資格を満たし、受給権獲得という目的達成のため「高齢任意単独被保険者からは、もう出て行ってね」となり、7は、初めて納付すべき保険料を納付しないときは、初めから高齢任意単独被保険者にならなかったものとみなされます。7は、いずれにしても、事業主の厚生年金保険料半額負担の同意を得ている場合は除きます。
事業主の同意がある場合は、7のように扱いが異なります。また、高齢任意加入被保険者自身が高齢任意加入被保険者になるかならないかという話ばかりではなく、事業主が同意を撤回したくなったらどうするのか?
その時は、高齢任意加入被保険者である被保険者の同意を得ることで、将来に向かって同意を撤回できます。つまり、一度同意をしたら「働きが悪いから、やっぱり同意を撤回するよ」というように一方的な処置はできないのです。
【 厚生年金の適用事業所以外の高齢任意加入被保険者 】
手続
70歳未満の厚生年金任意加入の任意単独被保険者と同様に、社会保険庁長官の認可と事業主の同意が必要です。
保険料の負担と納付義務
事業主が半額負担、納付義務を負います。というのも、そもそもこちらの高齢任意単独被保険者は事業主の同意がなければなることができないからです。
高齢任意加入被保険者の資格取得日
社会保険庁長官の認可のあった日
高齢任意加入被保険者の資格喪失日
次に該当したときは、その日の翌日に、高齢任意加入被保険者の資格を喪失します。
- 資格喪失の申請につき社会保険庁長官の認可のあった日
- 死亡したとき
- 適用除外の規定に該当したとき
- 政令で定める給付(老齢年金)の受給権を取得したとき