65歳未満の老齢厚生年金の年金額の計算において、定額部分(1階部分)で出てくる1,676円とはどういう数字なのか、ご存知ですか?
厚生年金定額部分の計算式
65歳未満の老齢厚生年金の定額部分の計算は、次の式に則って計算されます。
厚生年金の定額部分=1,676円×被保険者期間の月数×物価スライド率
つまり、定額部分に関しては現役時代の報酬額は関係なく、厚生年金の加入期間の長さだけによって年金額が決まります。多少の誤差はありますが、65歳以降の1階部分、老齢基礎年金と同様の考え方です。
1,676円の秘密
計算の途中で出てくる1,676円とはどういうものか。
これは、厚生年金の加入期間1ヶ月あたりの、老齢厚生年金(定額部分)の年金額の増加分に相当しますが、その数字のヒントは、老齢基礎年金の満額の金額から紐解くことができます。
【平成19年度の物価スライド数値0.985】
この0.985は、平成15年度から平成19年度の前年物価下落率合計値です。(-0.9%,-0.3%,0%,-0.3%, 0.3%※合計すると-1.2となりますが、過去の物価特例措置との絡みで-1.5%となります)
1,676円×被保険者期間の月数×物価スライド率
=1,676円×被保険者期間の月数×0.985
ここで、老齢基礎年金が40年で満額になるので、
被保険者期間に40年(480月)を入れてみると、
=1,676円×480×0.985=804,480円×0.985≒792,400円
ほぼ平成19年度の老齢基礎年金の満額(792,100円)と同じ金額です。つまり、1,676円という数字が、ほぼ老齢基礎年金の1ヶ月単価と同じだということです。若干厚生年金の単価のほうが高いので、その分は65歳以降に「経過的加算」として厚生年金の方で加算されます。
昭和21年4月1日以前生まれの1,676円の読み替え
昭和61年に厚生年金と国民年金が合体するようになりました。そして、1階部分の年金は老齢基礎年金として国民年金から支給するようになりましたが、それまでも厚生年金独自の支給として、定額部分(1階部分)と報酬比例部分(2階部分)に分けて年金額の計算が行われていたのです。
その定額部分の計算というのは国民年金よりも水準が高かったのですが、合体するにあたり水準の低い国民年金のほうへ合わせるようにしたのです。
しかし急に水準を下げることはできませんので、生年月日に応じて徐々に定額単価を下げることになりました。具体的には、生年月日に応じて次の率を1,676円に掛けたものが定額単価となります。
- 昭和2年4月1日以前生まれ=1.875
- 昭和2年4月2日~昭和3年4月1日生まれ=1.817
- 昭和3年4月2日~昭和4年4月1日生まれ=1.761
- 昭和4年4月2日~昭和5年4月1日生まれ=1.707
- 昭和5年4月2日~昭和6年4月1日生まれ=1.654
- 昭和6年4月2日~昭和7年4月1日生まれ=1.603
- 昭和7年4月2日~昭和8年4月1日生まれ=1.553
- 昭和8年4月2日~昭和9年4月1日生まれ=1.505
- 昭和9年4月2日~昭和10年4月1日生まれ=1.458
- 昭和10年4月2日~昭和11年4月1日生まれ=1.413
- 昭和11年4月2日~昭和12年4月1日生まれ=1.369
- 昭和12年4月2日~昭和13年4月1日生まれ=1.327
- 昭和13年4月2日~昭和14年4月1日生まれ=1.286
- 昭和14年4月2日~昭和15年4月1日生まれ=1.246
- 昭和15年4月2日~昭和16年4月1日生まれ=1.208
- 昭和16年4月2日~昭和17年4月1日生まれ=1.170
- 昭和17年4月2日~昭和18年4月1日生まれ=1.134
- 昭和18年4月2日~昭和19年4月1日生まれ=1.099
- 昭和19年4月2日~昭和20年4月1日生まれ=1.065
- 昭和20年4月2日~昭和21年4月1日生まれ=1.032
- 昭和21年4月2日以後生まれ=1.000