老齢厚生年金をもらえる人が、雇用保険の基本手当を受給した場合、たとえ1日でもその月は老齢厚生年金が支給停止になります。すると、同じ日数分の基本手当ての受給でも、厚生年金の支給停止月数が異なるという不合理が起きますが、それを修正するのが事後清算です。
事後清算の概略説明
例えばAさんとBさん。3月に退社して4月から雇用保険の基本手当を受給を開始しましたが、Aさんは毎月30日分の基本手当てを2ヶ月受け取り、Bさんは毎月15日分の基本手当てを受け取っていたとします。
Bさんの場合、日数ベースで考えると30日=1ヶ月分しか基本手当てをもらっていませんが、支給停止はAさんと同じ2ヶ月…不合理。
そこで、事後清算により支給停止2ヶ月から実質支給1か月分を差し引いて、あとから1か月分の年金支給停止を解除という流れになるのです。
厚生年金の支給停止期間(調整対象期間)
雇用保険の基本手当ての受給による厚生年金の支給停止期間は調整対象期間といいます。昔は年金も基本手当ても両方受給できましたが、平成10年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権が発生した人からは、このような調整を行うようになりました。
具体的には、職安に求職の申込みを行った月の翌月から、基本手当ての受給期間が経過するか、もしくは所定給付日数に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わったときまでの間、老齢厚生年金の支給が停止されることになります。そして最後に事後清算という流れになるわけです。
たった1日で1月分の厚生年金に差がつくことも
事後清算によって不合理はある程度解消されますが、日割り計算ではなく、端数の月に関しては1ヶ月として計算されますので、事後清算によって1日だけオーバーしてしまった場合には、たとえそれが1日であっても1月分の老齢厚生年金の支給が停止されてしまいます。
雇用保険(基本手当)との支給調整は65歳未満の話です
この支給調整は、65歳未満の老齢厚生年金についての話です。例えば基本手当ては65歳少し手前に職安に行き、求職の申し込みをすれば65歳を過ぎて基本手当てを受給している場合、その分は支給調整は行われません、
また、国民年金の老齢基礎年金の繰上、さらに65歳以降の老齢基礎年金についても、支給調整の話は出てきません。