遺族厚生年金の妻に対する支給要件は比較的ハードルが低く、妻の要件としては基本的に生計維持されていれば支給されます。それでは、夫70歳、妻40歳、入籍数ヶ月の妻にも遺族厚生年金は支給される?
たとえ遺族厚生年金目当でも
例えば…男性70歳、パート勤めの女性40歳。お互い独身で趣味サークルで知り合いました。男性は余命半年を告げられています。女性は男性に対して知人以上の感情はありませんでしたが、ふと良からぬことを考え始めました。
「いま入籍したら、遺族厚生年金が私のものに・・・」
女性は年金のことをよく勉強していていたのです。
男性と一緒にいる時間を長くして、次第に男性も自分に良くしてくれる女性に惹かれ始めました。
そして数ヶ月。ついに一緒に暮らし始め、少しでもいいから夫婦として暮らそうと入籍することになりました。そして1ヵ月後、男性は亡くなりました。
女性にとってはまさに予定通り。今後再婚等をしない限り、一生涯遺族厚生年金を受け取ることができるのです。
この場合の遺族厚生年金の要件
男性は会社員を40年、既に老齢基礎年金を受け取れる権利(受給資格期間25年)がありますので、遺族厚生年金の長期要件を使い、会社員現役等でなくとも遺族厚生年金の要件は満たしているのです。
また、女性は入籍して1ヶ月とはいえ、男性と生計を同じくし、年間850万円以上の収入はない。戸籍の上でも妻。たとえ1ヶ月でも十分すぎるくらい要件を満たしています。
仮に事実婚的な関係であっても、住民票が同じなどの要件を満たせば遺族厚生年金の要件として認められないこともありませんが、戸籍も住民票も同じであれば文句なしです。
逆のケースも
逆に戸籍上夫婦なのに別居していてそれぞれ財布は別々。定期的な生活費の送金もないような場合は、遺族厚生年金は支給されません。
遺族年金目当てでも、好き合っていても、いろいろな夫婦の形がありますからそれを問うことはできません。実際に手を掛けて夫をあやめてしまえば遺族年金はもらえませんが、そうでないのならば、要件さえ整えば年金はきちっと支給されるのです。