第25号 年金、みんな怒っています!|日本年金機構(旧社保庁)にされた国民年金保険料の「架空請求」

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第25号 年金、みんな怒!|日本年金機構(旧社保庁)にされた国民年金保険料の「架空請求」

号数…第25号
発効日…【2013/3/14】
購読者数…157名
件名…日本年金機構(旧社保庁)にされた国民年金保険料の「架空請求」
┏━━ ●  年金、みんな怒っています!  ● 第25号

 ◎ 日本年金機構(旧社保庁)にされた国民年金保険料の「架空請求」

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          【 平成25年3月14日版  第25号 登録数 157名様 】


今回は、国民年金保険料の過払いを生む
任意加入保険料の「架空請求」について取り上げます。

これは、2008年に解決した「任意加入保険料の過払い問題」とは違い、
データ上過払いとなることが明確であるにもかかわらず「未納がある」
「年金が増える」とウソをついて国民年金保険料を振り込み請求、
すなわち「架空請求」するというものです。

「社保庁を装う・・・」
「日本年金機構を装う・・・」
ではありません。

本物の日本年金機構(旧社会保険庁)が「架空請求」をしているのです。
(当事者は、66歳Aさん)

一応、カッコ付きの「架空請求」としている理由は、
年金事務所曰く「過払いとなった保険料は返還します」ということで、悪徳業者
が行うような架空請求と区別するためですが、内心では、どちらの架空請求も
変わりがないと考えています。

それは、過去の「過払い返還」の経緯のみならず、今回の件は、
偶然のミスによる「架空請求」ではなく、システムの一環として当然に起こり
うる状態の中での案件だからです。

うがった見方をすれば、意図的に国民年金保険料を過剰徴収しているのでは?
とすら思えるほどです。

・消えた年金記録
・保険料の組織的流用
・保険料の私的搾取・横領

名称は日本年金機構に変わっても、社会保険庁時代のこうした記憶はまったく
消されていませんので、悪い方に考えてしまうのも当然の成り行きです。


●Aさん(66歳)に掛かってきた国民年金の未納督促電話

2013年2月某日。
国民年金の保険料納付済期間が40年(480月)あるAさんに対し、
日本年金機構の保険料収納委託業者から電話が掛かってきました、

「平成23年の5月分と6月分の合計2か月分の年金保険料が未納です。」
「その分を支払えば、今からでも年金を増やせます。」

それは、Aさんにとってはまったく身に覚えのないもので、
未納とされる国民年金保険料2か月分の督促でした。

どことなく怪しさを感じたAさん。
納付書の送付を断り、最寄りの年金事務所で話を聞くことにしました。

その間、私と年金記録の現状について確認し、
年金事務所のやりとりでも同席しました。


●年金事務所での事情説明

年金事務所で聞いたことは次の3点です。

・あるはずもない2か月分の「未納」記録について
・架空請求といえる督促電話があったことについて
・今後のAさんに対する督促電話について

【あるはずもない2か月分の「未納」記録について】

Aさんは、65歳で裁定請求(年金支給決定)をした際に、国民年金の部分は
すでに480月となっており、満額の老齢基礎年金を受給しています。

よって、さらに未納があれば40年(480月)という加入可能月数を超えてしまう
ことになりますので、
480月+2月=482月??
となります。

これに対する先方の説明を要約すると、次のようになります。
(これ以降も同様に、回答部分は要約)

「60歳から加入していた国民年金の任意加入について、480月を達成して口座
引き落としが自動停止した平成23年4月分以降、5月分と6月分が未納になって
いる。理由は、任意加入を脱退する手続きをしたのが7月と遅かったから。」

Aさんにとってはわけのわからない話です。


確かにAさんは任意加入をしていました。

それは、60歳の時に発覚した「消えた年金」4年超分の空白期間を穴埋めする
ためのもので、調査と並行して国民年金保険料を口座引き落としにて払い続ける
ことを決意したのです。(調査…結局消えた年金は回復せず)

そして約5年が経過。

任意加入する手続きの際に役所で聞いていた通り、平成23年4月分を
もって国民年金を満額受給できる40年(480月)を達成し、口座引き落としが
自動停止されました。

平成23年7月の65歳の誕生日の少し前の話です。

そのため、国民年金40年達成で、法律的にこれ以上保険料を払えないのに、
それ以降の期間が未納になるということがまったく理解できないのです。

しかし、そのことを聞いても
「そのような決まりになっている。」
の一点張り。

つまり、法律的に言えば、Aさんは任意加入をした段階で「任意加入被保険者」
という存在になったので、65歳に達するまでに脱退手続きをしなかった場合、
その間、保険料を納付した月以外の期間は未納期間となるとの説明なのです。

しかし、40年達成は年金データとして国が把握しているものですし、
それとの整合性を考えれば、「未納」の発生は明らかに矛盾です。

これでは、Aさん以外にも本人の知らないうちに「未納記録」がついている人
は相当数にのぼるものと思われます。

しかも、何とも気持ちの悪いその未納記録2か月分は、一生消すことができない
年金記録として残るというのです。

Aさんの場合、そもそも、国民年金の任意加入についても、昭和40年代の
「消えた年金」4年超分を補うために不本意ながら加入したものだったのです
が、「消えた年金」が回復されない上に、自力で完納してまで「未納記録」が
付いたことに対し、Aさんは憤懣やりきれない気持ちでいるのです。

まさに踏んだり蹴ったりです。


【架空請求といえる督促電話があったことについて】

未納となる説明については、納得できなくとも一応話はわかりました。

しかし、年金記録を把握している国が、なぜ年金受給決定から1年半後の今に
なって架空請求の督促電話をしてくるのでしょうか。

以下、年金事務所の説明です。

「委託業者には「未納記録」が伝えられていて、過去2年以内の請求可能なもの
について電話で案内をしている。そのため、まだ請求可能である平成23年の
5月分と6月分について請求した。」

「委託業者には、裁定請求のデータは伝えられていない。
40年(480月)満たしている事実は反映されていない。」

驚きました。

説明を言い換えると、偶然のミスで架空請求となってしまったということではな
く、同じようなことが他の人でも起こりうるシステムであると言っているの
です。

そのことについて、日本年金機構と委託業者の間のやり取りで、架空請求の
事前防止を図ることはできないのかという趣旨の質問をしてみると、

「現状では、このような仕組みの中で業務を行っている。」

現状説明以上の回答を得ることはできませんでした。


【今後のAさんに対する督促電話について】

Aさんは、もう同じような督促電話はこりごりだと思い、聞いてみました。

「今、こうして状況を説明して、督促電話が不要だとわかってもらえたと思い
ますが、それでもまた督促電話が掛かってくるという可能性はあるのですか?」

それに対しての答えは
「可能性はあります。」

そこでAさんは、
「もう電話が来ないように個別に対応してもらうことはできないのですか?」
と怒りを抑えつつ聞いてみると、

「付箋を使って見分けがつくようにすればできる」云々カンヌン・・・。

結局、年金事務所から民間業者へ連絡してAさんへは電話しないように対応する
とのことでしたが、具体的に言われるまで当たり前の改善すら図ろうとしない
姿勢は、社会保険庁時代からの伝統なのでしょうか。


●任意加入保険料「払い過ぎの年金保険料は返還する」についての疑い

年金事務所での説明の中であえて省いたのですが、40年を超えて払い過ぎた
年金保険料は返還するとの説明もありました。

もちろん、自力で過払いの事実を把握しつつ年金事務所に指摘をすれば、
過払い保険料は間違いなく返還されることでしょう。

しかし、請求された年金保険料が過払いであると気が付かなかった場合には、
どうなるのでしょうか。

あくまで私見ですが、過去の「任意加入保険料過払い問題」【★】と同様の
過払い状態となるわけですので、これも当事者が申し出を起こさない限り
返還されることはないのではないかとの疑いが残るのです。

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【★】過去の「任意加入の過払い保険料問題」について

国民年金は、20歳から60歳までの40年間の加入・支払により満額の年金額
となります

もし未納などで40年に不足がある場合には、60歳から65歳までの期間内で
任意加入することにより、40年もしくは40年に近づけることも可能です。

いずれにしても、国民年金の保険料の支払いは「40年まで」ですが、
2004年度までの任意加入保険料の口座引き落としにおいては、65歳までの間に
国民年金実績「40年」となった場合でも任意加入の脱退手続をしない限りは継続
して保険料が引き落とされ、過払い保険料が発生していました。

厚生労働省は、データとして過払いが発生していることがわかる立場にあるにも
関わらず、年金に反映しない保険料を徴収し続けていたわけです。

しかも、その過払い保険料は、厚生労働省が2008年に方針転換(※)するまでの
間、法律・制度的理由によりずっと返還されぬまま当事者の泣き寝入りだったの
です。

(※)
民主党が、国民年金保険料の過払い返還を実現させるべく
「国民年金過払い還付法案」を国会に提出。
↓
政治的な対抗からなのか、当時の舛添大臣率いる厚生労働省は、
法律の運用を見直すことで、過払い分の年金保険料の返還を可能にした。

結局は、過払い分の保険料が返還されることになりましたが、
その過程を含め、後ろ向きな姿勢ばかりが目に付きました。

まとめると、

・2004年度までは40年を超えても保険料を徴収し続ける仕組みとなっていた
・2008年の運用見直しまで過払い分の返還に応じなかった
・本人からの申し出がなければ返還されない

これが、2008年に解決した任意加入の過払い保険料問題の顛末です。

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●過払いが返還されれば「架空請求」を放置しておいても良い?

年金事務所の説明にあった「返還」は、2008年の対応とは違い、申し出不要で
自動的に返還される性格のものであると思いたい(※)ところですが、
もしもそうでなく「架空請求」に対して全国的に返還されていない過払いがある
とすれば、今後、この問題は大きくなるかもしれません。

(※)実際に、過払い発生時に、人的ミスなく確実に返還するシステムが存在
するのかどうかという意味で。

もっとも、自動的な返還があれば現状のままでよいということではありません。

架空の督促請求だけでも高齢者に対して精神的なダメージを与えますし、
現に振り込みをさせた場合には、その間の生活資金の減少という実害も生じさせ
てしまいます。

すぐに年金が増えるとなれば、借金をして振り込みをしてしまうこともありうる
ことで、そうなれば利息分の損害も発生します。

実際に、Aさんは振り込みこそしなかったものの、当初、悪徳業者に目を付け
られているのかもしれないとの恐怖を感じていましたし、同時に、もし本当なら
ば「消えた年金」のように再度年金記録が消されたのではないかとの不安感も
抱いていました。

そして、事実を確認するにつれ強い憤りを感じ、当然ながら日本年金機構に
対する不信感も相当なものになっています。

それだけではありません。

Aさんは、公共料金の支払いもきっちりと行わなければ気が済まない几帳面な
性格ですので、何より2か月分の「未納記録」が残ることについてストレスに
感じているのです。

まるで「高齢者いじめ」ではないですか。


●委託業者へ向けられる怒りの声

日本年金機構が保険料収納業務を民間業者に委託するようになって久しいの
ですが、督促電話の着信番号を検索すると、「迷惑電話サーチ」というサイトで
様々な苦情の書き込みを目にすることができました。

悪徳業者からの電話であると勘違いしている書き込みも多いのですが、
中には、保険料の支払いを免除されている人に未納の督促が来るという
ような、今回の「架空請求」に通ずる日本年金機構の責任と思える書き込みも
見られました。

気になるものをピックアップします。

http://www.meiwaku.com/number/0222117401.php
66番目を抜粋
「今日の昼前にかかってきました。どこか北の方っぽい局番だな、
でも関東以北に知り合いなんかいないと思って留守電で放置。
年金請求のセンターなんですか?
でも、年金は事情で全額免除されてるんですよね。
免除の申請中にも2度も年金払えと請求がきて、
そのハガキの郵便代、無駄だろうと思ってました。
電話代も無駄ですよね。年金機構もすごい縦割りで、
あっちの部署がやってることをこっちの部署は知らないって状態みたいです。
今時、どうしてコンピュータで情報が共有できないのかわかりません。
公の役所関連はまだまだ能率悪いですね。ちょっとは考えればいいのに。」
(2012年12月26日)

61番目を抜粋
「(略)
年金の全額免除うけている家に何度も掛かってくるってどういうことなんだ?
税金の無駄遣いだろ」 
(2012年12月13日)

http://www.meiwaku.com/number/0120927866.php
25番目を抜粋
「市場かテストで参入した会社のようですね。
(略)コールセンターは長崎にあるようです。
このアイビジットの対応が悪いのもさることながら、
委託している年金機構がこのアイビジットに渡している情報にも不備があり
(私はある理由で免除申請してすでに2カ月、まだ結果も出ていないにも関わら
ず年金保険料払えと督促される)、
年金機構に名前だけ変わっても旧社会保険庁のいい加減極まりない体質は全く
変わっていないということですね。
最寄りの年金事務所に事実確認と苦情を言うと、関東ブロックに改善するように
伝えると課長が言われたので期待せずに待ちましょう。 」
(2012年9月21日)

「架空請求」では、1年半前のデータすら反映させていませんでしたし、この
書き込み内容から想像するに、おそらく、未納データを投げっぱなしで、
その後のフォローは行っていないのでしょう。

個人情報の問題かどうかは不明ですが、何も年金データの多くを情報共有する
必要はなく、業者に渡した未納データの中から、督促が不要になった対象者
を省くよう、日本年金機構の職員が随時データを更新すれば、個人情報も守れ、
誤った督促も減少します。

それをしないということは、おそらくいまだにズサンな年金管理が続いている
ということでしょう。


●冒頭の「ウソをついて国民年金保険料を振り込み請求」について

冒頭の「ウソをついて国民年金保険料を振り込み請求」という表現については、
Aさんの感想をそのまま使っています。

それは、本来「事実ではない情報をもとに・・・」と記すべき所かもしれ
ませんが、常態として架空請求が発生する仕組みが存在する中で現に今回の
架空請求の電話があり、そうした背景を考慮すると、直接的には事情の知らない
民間業者による電話であったとしても、こちらからすると、その主体である
日本年金機構は、承知の上で架空請求をさせているのだと捉えることができ、
全体としては「ウソをついている」ことに他ならないからです。

また、個人情報保護の観点から、Aさんの未納とされた月に関しては、
合計2か月であることはその通りですが、その時期については影響のない範囲で
前後のいずれかにずらしてあります。

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