厚生年金・国民年金増額対策室 > 年金、みんな怒!(バック) > 第26号 周知不十分な国民年金保険料の後納(こうのう)制度
┏━━ ● 年金、みんな怒っています! ● 第26号 ◎ 周知不十分な国民年金保険料の後納(こうのう)制度 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 平成25年9月22日版 第26号 】 払っていない国民年金の保険料を、過去10年分までなら納めることができる 国民年金の後納制度。 後納制度が利用できるのは、平成24年(2012年)10月~平成27年(2015年)9月の 3年間に限定され、その特例期間が過ぎてしまうと、保険料の納付期間は 過去2年分、もしくは新たな制度が出来れば3年~5年分となってしまいます。 ※平成25年8月18日読売新聞夕刊より 『厚生労働省は、自営業者などが加入する国民年金の保険料について、 2015年10月から、過去に遡って納付できる期間(2年)を延長する方針を 固めた。3年~5年を軸に検討し、国民年金法改正案の早期国会提出を目指す。』 いずれにろ、後納制度については、該当者の利用機会が失われぬよう、 周知を徹底してもらわなければ困るのですが、開始後1年を見る限りでは、 広報や個別通知について疑問の残るものになっています。 ●メディア広報は、平成24年9月の小さな新聞広告のみ 平成25年9月まで、後納制度についてのメディア広告がどの程度であるのかを 「政府広報オンライン」で調べたところ、驚くことに制度の開始直前の 平成24年9月にのみ新聞広告が掲載され、それ以外は、どのメディアにおいても 広告がないことがわかりました。 しかも、唯一の新聞広告も、全面広告のような目立つものではなく、 面積の小さな突出し広告でした。 ※「国民年金の後納制度の利用促進:政府広報オンライン」より http://www.gov-online.go.jp/pr/media/paper/tsukidashi/1117.html これでは、ほとんど周知の効果は期待できないでしょう。 ●通知文書の送付時期は人それぞれ それでは、個別通知はどうなのか。 通常、送付されるのは「国民年金保険料の納付可能期間の延長のお知らせ」 というもので、後納を利用できる対象期間や説明などが記されたものです。 ※見本 http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/service/0000006476.pdf これを、日本年金機構のサイトの表現で言えば「順次」送付するわけです。 しかし、そのスケジュールが、年齢の高い順、および、未納期間の古さによって 決められているということは、一般向け資料等に示されていません。 しかも、そのスケジュールは、平成24年7月から平成25年7月までの最大1年の 差がありますので、通知が遅い人からすると、現実的には、通知の到着が 利用開始時期となり、利用期間が短縮されてしまいます。 (周知が無いに等しいため。) 人によっては、まとまった出費となりうる後納制度において、最大で1年も納付 期間が短くなれば、お金のやりくりの問題で一部しか納付できないという 人も出てくるでしょう。 日本年金機構からの後納制度の通知送付スケジュールは下記の通りです。 ----------------------------------------------------------------------- ※後納制度に関するQA(年金委員向け) http://www.nenkin.go.jp/n/open_imgs/sic/0000005601.pdf Q14より 【平成24年7月31日~平成24年8月28日】の送付予定者 ・60歳以上で対象期間を有する人 ・50歳以上60歳未満で平成14年10月から平成14年12月に対象期間を有する人 【平成24年8月31日~平成24年9月28日】の送付予定者 ・50歳未満で平成14年10月から平成14年12月に対象期間を有する人 【平成24年11月30日~平成24年12月19日】の送付予定者 ・平成15年1月から平成15年3月に対象期間を有する人 【平成25年1月4日~平成25年1月23日】の送付予定者 ・50歳以上60歳未満で平成15年以降に対象期間を有する人 【平成25年1月31日~平成25年2月20日】の送付予定者 ・50歳未満で平成15年度に対象期間を有する人 【平成25年4月30日~平成25年5月22日】の送付予定者 ・50歳未満で平成16年度から平成18年度に対象期間を有する人 【平成25年7月1日~平成25年7月24日】の送付予定者 ・50歳未満で平成19年度から平成21年度に対象期間を有する人 ----------------------------------------------------------------------- もう過ぎた話・・・と思われるかもしれませんが、それは、このスケジュール 通りに、着実に通知が実施されればの話です。 私の場合、50歳未満で、対象期間の古いものが平成17年4月ですので 【平成25年4月30日~平成25年5月22日】に通知があるはずなのですが、 現に平成25年7月になっても通知が来ることはありませんでした。 紛失なのか、データの漏れなのか、スケジュールの遅れなのか・・・。 結局、しびれを切らして自分で日本年金機構に問い合わせをし、 必要書類を取り寄せ、7月下旬に後納制度を利用したのです。 その月数は13か月分で、後納金額は合計192,020円。 これは、当時の保険料額に利息分を加算した金額で、 国民年金保険料が毎年値上がりしている現在においては、 むしろ平成25年度の国民年金保険料額15,040円の13か月分 → 15040円×13か月=195,520円 よりも安く済むという、相対的な割安感を感じる結果となりました。 ●後納制度を利用せず、60歳からの任意加入制度を利用する場合 時効で払えなくなった未納分を、60歳から65歳までの国民年金の 任意加入制度で穴埋めしようと考えている人にとっては、国民年金の保険料額 が値上がりする過程にある今のうちに後納制度を利用しない場合、平成29年度 以降には、1か月あたり16900円前後の保険料を納付することになりますので、 その時には割高な保険料を払わなければならなくなります。 さらに、それは平成16年改正で決まった額であり、将来的には、 国民年金の保険料の金額が20000円近くになっても不思議ではありません。 比較的若く60歳までの期間が長い人ほど、そのような値上がりリスクがあり、 納付額の点で言えば、後納制度の利用が有利です。 ●おわりに 後納制度の対象者は1200万人とも言われていますので、後納制度が多くの人に 利用されれば、国としても大きな保険料収入になります。 しかし、広告を出せない現実的な問題があるようで・・・。 (一面広告などが出せない理由として) 「広報予算がない。 PR会社への天下りしていた→日本年金機構に広報予算が付かなくなった」 (2013年2月16日TBSサタデーずばッと・自民党塩崎議員のコメントの要約) 自民党に政権が戻ったのが2012年12月ですので、当初はそのコメントも納得 できましたが、2年目、3年目となると見方は変わります。 後納制度が終わるまで残り2年。 果たして、今後、周知活動が増強されるようになるのでしょうか。
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