厚生年金・国民年金増額対策室 > 年金、みんな怒!(バック) > 第27号 出産時の年金不公平…1号女性だけが国民年金保険料を負担
┏━━ ● 年金、みんな怒っています! ● 第27号 ◎ 出産時の年金不公平 … 1号女性だけが国民年金保険料を負担 (平成26年4月~) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 平成26年3月29日版 第27号 】 今回は、平成26年4月からの法改正である 厚生年金と健康保険の『産前産後休業期間中の保険料免除』(※) により生じる、女性の出産時における国民年金の不公平を取り上げます。 ※外部リンク 「産前産後休業期間中の保険料免除が始まります」 http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/000001674194EWe5gfHi.pdf (日本年金機構 PDF) 産休期間中の保険料免除は、国民年金の第2号被保険者である 厚生年金に加入中の女性会社員が対象であり、 「次世代育成支援」の観点から行われるものです。 (公務員が加入する各共済組合も実質的に同じ仕組み。) なるほど、産休中の保険料負担がゼロになれば、確かに働く女性の出産への サポートとなり、多少なりとも少子化の解消にも資することとなるでしょう。 しかし、一方で、助けてもらえない女性もいるのです。 それが、国民年金の第1号被保険者の女性です。 ●出産時の1号女性と2号女性の不公平な優遇格差 厚生年金の保険料には、事実上、国民年金の保険料も内在されており、 支払った期間については、1階部分の国民年金(基礎年金=定額)に加えて、 2階部分の厚生年金(報酬比例部分)も併せて受給できます。 今回の「免除」の仕組みでは、免除となった期間分の年金は、将来減額されるこ となく国民年金(1階部分)も厚生年金(2階部分)も受給できるため、 国民年金に着目すると、1号の女性と2号の女性の間における優遇格差・不公平 が見えてくるのです。 例えば、今どきは少なくないと思われる、夫婦共にパートや派遣等の非正規雇用 のケースで考えます。 夫も妻も、国民年金は第1号被保険者、健康保険は国民健康保険。 妻が出産でパートを産休することになった時、果たして国民年金は 免除されるのでしょうか。 答えはノーです。 厚生年金の名目の中にある「国民年金」は免除されるのに、国民年金だけに加入 している1号女性の保険料は免除されません。 同じ国民年金という制度の中にいるにもかかわらず、 同じ出産であるにもかかわらず、産休していたとしても 2号は免除で1号は免除なし。 また、さらに言えば、会社員の第2号の女性であれば、産休の支援として 健康保険から出産手当金(休んだ日数分・ほぼ給料の3分の2)が支給されるの ですが、国民健康保険ではそのような支援はありません。 それでも国民健康保険の保険料は払い続けなければなりませんので、国民年金の 保険料を免除してほしいのは、むしろ1号女性の方なのです。 ●出産退職防止の効果は薄い 1号にはなく2号にだけあるものとして、使用者の保険料負担がありますが、 「継続雇用」に資するという見方については、元々産休は使用者の義務 であることから、その効果は薄いと言わざるを得ません。 つまり、産休期間中の保険料免除の法改正については、経済的な負担を軽減する ことで出産をサポートするという意味合いが強いのです。 もちろん、各制度がそれぞれの優遇措置を取ることは自由なのですが、共通に 加入しており、公平性が担保されるべき国民年金については、2号女性だけを 特別扱いする理由がないのです。 ●3号はもとより国民年金保険料の負担なし 国民年金の第3号被保険者は、もとより国民年金の保険料は不要で将来の 国民年金は満額受給となりますので、出産云々の話は関係ありません。 これは、「第3号被保険者問題」と呼ばれる別の問題となりますので、ここでは 触れません。 ●出産時の国民年金保険料の負担は、女性の中で第1号被保険者だけになった 結局、女性が子供を出産する時、国民年金の保険料を支払うのは、1号2号3号の うち第1号被保険者だけとなってしまいました。 2号は産休期間により最大3か月分の保険料が免除。 その後も、先行して実施された法改正により、子が3歳に達するまでの育児休業 期間についても保険料が免除されますので、1号との比較においての国民年金の 優遇格差は大きいものがあります。 なお、子供2人目以降の出産においても、同様の優遇措置が受けられます。 ●「第1子出生時の母の平均年齢は、平成23年で30.3歳」→ 収入を調べると 厚生労働省の「平成24年人口動態統計月報年計(端数)の概況」によると、女性 の第1子出生時の平均年齢は、平成23年で30.3歳でした。 そして、この年齢層における収入を 「公的年金加入者等の所得に関する実態調査結果の概要について」 により調べた結果は下記の通りです。 ※外部リンク 「公的年金加入者等の所得に関する実態調査結果の概要について」 (調査実施時期:平成22年11から平成23年2月まで) http://www.mhlw.go.jp/ stf/houdou/2r9852000002exks-att/2r9852000002exm9.pdf (PDFファイル) 表3「年齢階級別加入状況別1人当たりの平均年収」より、 「30歳~34歳」+「配偶者あり」の項目を抽出すると、 夫側の収入(年収) 第1号被保険者(夫)→249万円 第2号被保険者(夫)→442万円 妻側の収入(年収) 第1号被保険者(妻)→101万円 第2号被保険者(妻)→268万円 第1号被保険者の妻の収入は、社会保険の扶養範囲である年収130万円未満で あることを考えると、その夫は第2号ではなく第1号であることが多いのではと 推測できます。 すると、第1号被保険者の妻は、出産時に本人は無収入なので、 夫の収入(夫は同世代だとすると年収249万円)の中から2人分の国民年金と 国民健康保険の保険料を払わなければならず、保険料の支払いだけでも 大変です。 もちろん、高収入の第1号被保険者も含まれますが、例えば、年収1億円の人1人 に対して無収入の人が32人でも、33人の平均年収は300万円となるように、 『平均年収』は上振れするのが常ですので、第1号被保険者の夫の年収249万円と いうのも実態のイメージとは異なり、人数的に言えば、それを下回る年収の人 の方がはるかに多いと思われます。 妻の年収についても同様です。 ●「産休」ではなく「出産」での女性の国民年金保険料の免除を! 国民年金の第1号被保険者には、所得等による保険料の免除の仕組みが存在しま すが、いずれも将来の年金額は減額されます。 しかも、産休については、その免除の対象ですらありません。 ここは、すでに第2号女性の保険料免除が実施されるという現実と照らし合わせ、 第1号被保険者の女性については、例えば、出産を対象に、出産月以降3月分の 国民年金保険料を免除して、2号女性に合わせてその分の年金は満額支給とする というような改善策があってもよいのではないでしょうか。 2号女性についても、最大3か月分の産休について、仮に2か月分しか 厚生年金保険料の免除を受けなかった場合には、残り1か月分は、何らかの 技術的な手続きにより国民年金保険料相当の金銭的な手当てを行うということで 均等な優遇措置とするのです。 3号女性は、出産・産休にかかわらず保険料負担はありませんので、 現状維持でよいでしょう。 国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ ていますので、免除に際しても公平であってほしいものです。
|厚生年金繰り下げ受給
|加給年金
|中高齢の特例
|60歳台前半の特例
|定時決定
|育児休業|
| |
|任意加入被保険者
|国民年金繰り下げ受給
|保険料免除制度
|国民年金基金
|時効の2年間|
| |
年金Q&A |
|公的年金制度と年金問題
|老後の年金生活の実態
|よくある年金の勘違い
|年金と税金|
|
年金の手続きその他 |
|年金受給者の手続き
|裁定請求書の書き方と留意点
|年金相談事例
|厚生年金の受給開始年齢|
|