第32号 次世代高齢者の年金 ダブルパンチだった平成16年改正後の13年間

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第32号 次世代高齢者の年金 ダブルパンチだった平成16年改正後の13年間

号数…第32号
発効日…【2017/6/30】
件名…次世代高齢者の年金 ダブルパンチだった平成16年改正後の13年間
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 ◎ 次世代高齢者の年金 ダブルパンチだった平成16年改正後の13年間

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          【 平成29年6月30日版  第32号 】

平成16年年金制度改正から13年。

平成29年は保険料の段階的な引き上げが終了する区切りの年で、
国民年金が4月、厚生年金が9月で保険料の引き上げが終了します。

●プラン通りに進んだ年金保険料の負担増

【平成16年改正に伴う厚生年金保険料の引き上げ】

平成16年~平成29年まで毎年「0.354%」の引き上げでした。

平成16年(2004年)10月 13.58%→[+0.354%]→13.934%
平成17年(2005年)9月 13.934%→[+0.354%]→14.288%
平成18年(2006年)9月 14.288%→[+0.354%]→14.642%
平成19年(2007年)9月 14.642%→[+0.354%]→14.996%
平成20年(2008年)9月 14.996%→[+0.354%]→15.35%
平成21年(2009年)9月 15.35% →[+0.354%]→15.704%
平成22年(2010年)9月 15.704%→[+0.354%]→16.058%
平成23年(2011年)9月 16.058%→[+0.354%]→16.412%
平成24年(2012年)9月 16.412%→[+0.354%]→16.766%
平成25年(2013年)9月 16.766%→[+0.354%]→17.12%
平成26年(2014年)9月 17.12% →[+0.354%]→17.474%
平成27年(2015年)9月 17.474%→[+0.354%]→17.828%
平成28年(2016年)9月 17.828%→[+0.354%]→18.182%
平成29年(2017年)9月 18.182%→[+0.354%]→18.3%

【平成16年改正に伴う国民年金保険料の引き上げ】

金額は、物価や賃金の変動により計算された実際の保険料額で、カッコ内は
平成16年度価格です。毎年280円ずつの引き上げでした。

平成17年(2005年)4月 13580円(13580円)
平成18年(2006年)4月 13860円(13860円)
平成19年(2007年)4月 14100円(14140円)
平成20年(2008年)4月 14410円(14420円)
平成21年(2009年)4月 14660円(14700円)
平成22年(2010年)4月 15100円(14980円)
平成23年(2011年)4月 15020円(15260円)
平成24年(2012年)4月 14980円(15540円)
平成25年(2013年)4月 15040円(15820円)
平成26年(2014年)4月 15250円(16100円)
平成27年(2015年)4月 15590円(16380円)
平成28年(2016年)4月 16260円(16660円)
平成29年(2017年)4月 16490円(16900円)

●ほとんど進まなかった年金給付の抑制

一方、年金給付は、実力以上の過大な給付を持続可能なレベルまで抑制すべく
導入された「マクロ経済スライド(※)」の仕組みが1回しか発動せず、
本来よりも余分な年金給付が続くこととなりました。

【マクロ経済スライドの適用(平成29年度まで)】

平成17年(2005年)4月~ 適用なし
平成18年(2006年)4月~ 適用なし
平成19年(2007年)4月~ 適用なし
平成20年(2008年)4月~ 適用なし
平成21年(2009年)4月~ 適用なし
平成22年(2010年)4月~ 適用なし
平成23年(2011年)4月~ 適用なし
平成24年(2012年)4月~ 適用なし
平成25年(2013年)4月~ 適用なし
平成26年(2014年)4月~ 適用なし
平成27年(2015年)4月 △0.991%
平成28年(2016年)4月~ 適用なし
平成29年(2017年)4月~ 適用なし

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※マクロ経済スライド

平成16年改正により導入。
毎年、一定条件でスライド調整率(想定平均0.9%)分を抑制(削減)させる
仕組み。

公的年金全体の被保険者の減少率=0.6%
平均余命の伸びを勘案した一定率=0.3%
0.6%+0.3%=0.9%

順調であれば、調整期間は約20年間。

実際のスライド調整率は△0.5%(平成29年度)や△0.7%(平成28年度)となるなど
想定とは上下する。
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13年で1回しかマクロ経済スライドが適用されなかったことについては
ニュースなどでよく知られているかと思われますが、それを計算してみると、
また違った印象を受けるかもしれません。

あくまで想定平均ベースでの計算ですが、

△0.9%×未発動12年=△10.8%

現在の公的年金の給付費は約50兆円なので、

50兆円×△10.8%=5兆4000億円

まとめると、現時点では10.8%、5.4兆円分が余分な年金給付となっています。

そして、年金給付費自体、毎年増えていく見込みですので、
このままであれば、過剰給付はますます増えていきます。

●年金削減のスピードと世代間の利害対立構造

マクロ経済スライドは、順調ならば約20年間で終了する予定でした。

しかし、発動が遅れたため終了予定が後にずれ込み、
平成26(2014年)年度の財政検証では、終了予定が
平成55(2043)年度~平成56(2044)年度
であるとされました。

単に終了期間が先送りになるだけではなく、
次世代高齢者の年金水準はその分だけ低下したのです。

例えば、基礎年金でいえば、
平成16年→調整期間20年→最終的な所得代替率=28.4%
平成26年→調整期間30年→最終的な所得代替率=25.6~26.0%

すなわち、

現在の高齢者…年金削減が遅れるほど得
次世代高齢者…年金削減が早いほど得

とうトレードオフの関係にあるのです。

次世代高齢者にとり、平成16年改正後の13年間は、

・保険料の負担増大
・将来の年金の低下

という負担と給付の両面でのダメージ、ダブルパンチとなった一方で、
現高齢者にとっては、結果的に予定よりも多い年金がもらえた期間であり、
願わくば、それが続くことがメリットでもあるわけです。

●平成28年改正…マクロ経済スライドが適用されやすくなります

こうしたマクロ経済スライドが発動されない状況を解消すべく、平成28年改正
では、マクロ経済スライドの未調整分をキャリーオーバーできるなどの2点の
ルールの見直しが行われ、それぞれ平成30年4月及び平成33年4月から実際に運用
されることになりました。

そもそも、マクロ経済スライドが基礎年金を対象としているなどの部分的な不満
は残るものの、政治的に、現高齢者の既得権に踏み込む年金給付の削減は
年金財政問題の解決において最も必要かつ困難なものですので、今回の法改正は
十分に評価しうるものです。

●現高齢者よりも厳しい次世代高齢者

法改正の際、テレビの情報番組では、年金生活者の厳しい暮らしぶりが映し出さ
れていました。
そして、生活必需品の値上がりなどと相まって、法改正がまるで老人いじめかの
ような印象を与えていたのです。

「これ以上年金を減らされたら暮らしていけない」
「年金カットは大反対」

年金生活者である現高齢者の立場に立てば当然そうなります。

しかし、平成16年のマクロ経済スライドの導入の際もそうでしたが、そのような
番組を見て思うのです。

「将来の高齢者の年金の方がもっと厳しい・・・」

●次の法改正は?

人数も多く投票率も高い現高齢者への影響は最小にしたいはずですの
で、次に改正があるとすれは支給開始年齢の引き上げが濃厚だと思われます。

イギリス=68歳
アメリカ、フランス、ドイツ、ノルウェー=67歳
そして日本も65歳→?。

次世代高齢者の受難は続きます。

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