5年に1度の財政再計算は平成16年で最後なのですか?→今後は財政検証(「財政の現況及び見通し」の作成・公表)が行なわれます。

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厚生年金・国民年金増額対策室

5年に1度の財政再計算は平成16年で最後?

今まで5年に1度行なわれていた年金の財政再計算は、
平成16年をもって行なわれなくなると聞きました。
もう年金の見直しは行なわれないのですか?

財政再計算から財政検証へ

平成16年改正の前まで、厚生年金及び国民年金は、
法律により5年に1度保険料(率)の再計算を行なうものとされていました。
(=財政再計算)

それまで、5年に1度の財政再計算では、
その時々の人口・経済動向など年金を取り巻く状況を加味しつつ、
将来の見通しを示しながら当面の保険料(率)負担を定めていました。

「財政再計算のたびに負担が増える!」
との批判もあったのですが、
先の見えない遠い将来を正しく予測することもまた困難であることから、
このような5年刻みで軌道修正をすることも必要なこととされていました。

しかし、少子高齢化が進み年金を取り巻く環境は一層悪くなり、
賦課方式のしくみの中で年金受給者を支えなければならない現役世代にとっては、
今ある負担に加え、見えない先の負担(不安)が一層過重なものとなってきました。

そこで、平成16年改正では、これまでのように5年ごとに保険料(率)を見直すことをやめ、
最終的な保険料水準をあらかじめ定めて自動的に保険料(率)を調整するしくみ、
すなわち「保険料水準固定方式」が導入されたのです。

これにより、これまでのような保険料引き上げのプランを策定し直す
『財政再計算』は行なわれなくなりましたが、財政状況を検証するため
少なくとも5年に1度は政府により「財政の現況及び見通し(財政検証)」を
作成し公表することとされました。

厚生年金、国民年金の保険料水準の引上げ

厚生年金
(保険料率:対総報酬)
[労使折半]
国民年金
(保険料月額:平成16年度価格)
平成15(2003)年度末13.58%13,300円
平成16(2004)年13.934%(10月引上げ)13,300円
平成17(2005)年14.288%(9月引上げ)13,580円(4月引上げ)
平成18(2006)年14.642%(9月引上げ)13,860円(4月引上げ)
平成19(2007)年14.996%(9月引上げ)14,140円(4月引上げ)
平成20(2008)年15.35%(9月引上げ)14,420円(4月引上げ)
平成21(2009)年15.704%(9月引上げ)14,700円(4月引上げ)
平成22(2010)年16.058%(9月引上げ)14,980円(4月引上げ)
平成23(2011)年16.412%(9月引上げ)15,260円(4月引上げ)
平成24(2012)年16.766%(9月引上げ)15,540円(4月引上げ)
平成25(2013)年17.12%(9月引上げ)15,820円(4月引上げ)
平成26(2014)年17.474%(9月引上げ)16,100円(4月引上げ)
平成27(2015)年17.828%(9月引上げ)16,380円(4月引上げ)
平成28(2016)年18.182%(9月引上げ)16,660円(4月引上げ)
平成29(2017)年~18.3%(9月引上げ)16,900円(4月引上げ)

国民年金の「平成16年度価格」というのは、平成16年度の賃金水準でみた場合の保険料水準ということであり、 賃金水準が上昇すれば、賃金水準の上昇に応じて、実際に徴収される保険料の名目が上昇することを意味しています。

具体的には、法律に定められた平成16年度価格の保険料額に平成16年度以降の賃金(税・社会保険控除前)の上昇率を乗じて算出される額が、 実際に徴収される保険料額となります。

経過年での例

※各年度の改定率=
前年度の改定率×前年度の名目賃金変動率(前々年の物価変動率×4年前の年度の実質賃金変動率)

財政検証で行なわれること

厚生年金保険法および国民年金法によれば、
政府は財政検証で次の5項目を実施するものとされています。

関連:年金不信を増幅させた『平成21年財政検証』

参考:厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)

【財政の現況及び見通しの作成】
第四条の三
政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による
保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支について
その現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」とい
う。)を作成しなければならない。
2 前項の財政均衡期間(第三十四条第一項において「財政均衡期間」という。)
は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
3 政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞な
く、これを公表しなければならない。

【調整期間】
第十六条の二
政府は、第二条の四第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成するに当た
り、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障
が生じないようにするために必要な積立金(厚生保険特別会計の年金勘定に係る
積立金並びに第八十五条の二及び第百六十一条第一項に規定する責任準備金をい
う。)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたつてその均衡を保つことができない
と見込まれる場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で保険給付の額
を調整する期間(以下「調整期間」という。)の開始年度を定めるものとする。
2 財政の現況及び見通しにおいて、前項の調整を行う必要がなくなつたと認めら
れるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとする。
3 政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間
の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。

なお、詳細は省略しますが、国民年金法(昭和34年法律第141号)の「財政の現況及び見通しの作成」(第四条の三)、 「調整期間」(第十六条の二)でも同様の規定があります。(「保険給付」が「給付」となっていることや、「厚生年金事業」が「国民年金事業」になっていることの他、 多少の違いしかありません。)


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