青田さまの年金相談事例 Step5|国民年金を繰上げ支給を選択する時の、メリット・デメリット

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青田さまの年金相談事例 Step5|国民年金を繰上支給を選択する時のメリット・デメリット

通常通りの年金と、国民年金を繰上げ受給した場合の年金図

年金の原則支給と、60歳から全部繰上げした場合の年金図(国民年金基金を除く)


国民年金の繰上げ支給(受給)の資料

「制度共通年金見込額照会回答票」により、60歳~61歳の年金額をご確認。

青田さまのご自宅にて:その3(平成18年6月)(小野塚vs靑田さま)

机の上に、繰上げ支給の資料を置き、ご説明の開始です。
(一部繰上げのご説明もいたしましたが、ここでの再現は省略いたします。)

靑田さま、繰上げ支給についてはご存知ですか?

知っています。
繰上げた分だけ減額されて支給されるのでしたよね。

そうです。
では、どれだけ減額されるのかはご存知ですか?

それは、わかりません。
どれくらいですか?

いつから繰上げ支給をするのかで、減額率は変わるのですが、ざくっと年単位で見てみますと次のようになります。

国民年金繰下げ支給の減額率

繰上げ支給
開始年齢
減額率
(昭和16年4月1日以前生まれの人)
減額率
(昭和16年4月2日以降生まれの人)
60歳
61歳
62歳
63歳
64歳
42%
35%
28%
20%
11%
30%
24%
18%
12%
6%

これからもらう人のほうが、減額率は低い

昭和16年4月2日以降に生まれた人のほうが、減額率は低いです。
仮に、60歳で繰上げた場合、満額80万円と仮定しますと、
昭和16年4月1日以前生まれの方の場合は、年金額464,000円になるのに対し、
昭和16年4月2日以降生まれの方の場合は、年金額560,000円になります。
靑田さまの場合は、「制度共通年金見込額照会回答票」の通りです。

全然違いますね。

はい。
しかし、どちらにしても、この減額された年金が一生涯続きますので、注意が必要です。

月単位で、国民年金の繰上げ請求ができます。

60歳と3ヶ月とかで、繰上げ支給を請求した場合はどうなるのですか?

これから繰上げ支給を請求する方、16年4月2日以降生まれの方の場合は月単位での請求が可能です。
60歳から計算して、請求を1ヶ月遅らせるごとに0.5%増えた年金額となりますので、
たとえば6ヶ月なら0.5×6ヶ月=3%。
つまり、60歳での繰上げ請求なら30%減額なのに対し、
60歳と6ヶ月で繰上げ請求した場合は30%-3%=27%の減額率になります。

少しでも、もらい始めるのを遅らせた方が、もらえる額が高くなるのですね。

そうです。
それと、金額面だけではなく、国民年金の繰上げ支給には注意する点がございます。
早くもらえるメリットの反面、デメリットも多いのです。

国民年金の繰上げ支給の留意事項

  1. 一生減額した年金となります。
  2. 請求したときからの支給となり、遡っては支給されません。
  3. あとで請求を取り消すことはできません。
  4. 65歳前に障害者になった場合でも、障害基礎年金は支給されません。
  5. 65歳前に寡婦(カフ:未亡人)になった場合でも、寡婦年金は支給されません。
  6. 寡婦年金の受給権をすでに持つ場合でも、受給権は消滅してしまいます。
  7. 保険料の免除を受けた場合、その追納ができなくなります。
  8. 65歳までに遺族年金が発生した場合、繰上げ支給との選択となってしまいます。
  9. 遺族が死亡一時金を受給できなくなります。
  10. 国民年金に任意加入はできなくなってしまいます。
  11. 振替加算は、減額されずに支給されます。

靑田さまがわからないとおっしゃるところに解説を加え、おおよそ30分後。

お話を伺って、よくわかりました。
これだけデメリットや注意事項があると、国民年金の繰上げ支給は選択しにくいですね。

そうですね。
年金は、人それぞれ、もらい方もそれぞれなのですが、繰上げ支給だけは選択しない方が賢明です。
経済的事情で、もらわないと仕方がないというケースは除きますが。

わたしも、いま請求しないと生活できないというわけではないですから、この国民年金の繰上げ支給は請求しません。
ところで、特別支給の老齢厚生年金は、別に繰上げてもらっていくようなものではないですよね。

はい、大丈夫です。
あれは、単にもらわないと損するというだけの年金ですから。
でも、年金についてご存じない方で、国民年金の繰上げ支給だけを勉強した方は、
ごっちゃになってしまうかたもいらっしゃいます。

単純に、65歳までは何ももらわない方がいいと?

そうです。
ですので、65歳まで何も手続をしないという方もいらっしゃるのです。
とはいえ、65歳になれば大抵の方は裁定請求手続をしますから、そこで間違いに気が付くことになります。
5年の時効に間に合う部分については遡ってもらうことができます。

ややこしいですね。

そうですね。
知らないで不利益な選択をしてしまっている人は、潜在的にはたくさんいらっしゃると思います。
残念なことです・・・

なお、補足いたしますと、厚生年金の2階部分につきましては、
国民年金の繰上げを選択したとしても、通常通りそのまま支給されます。
それでは次は、国民年金の繰下げ支給のご説明をいたします。

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