国民年金の第1号被保険者だけが任意では入れる付加年金。付加保険料を400円ずつ払って、65歳からは毎年96,000円(満額の場合)の年金。これってどれだけ得なのでしょうか?
数ある年金のしくみの中でもこの付加年金は特におトク感のある年金です。何しろ付加保険料400円に対して、もらうときは1ヶ月の付加保険料納付期間あたり200円の年金になります。例えば20歳から60歳までもれなく国民年金と付加年金に加入していたとしたら、40年(480月)に400円を掛けて、付加保険料合計は192,000円。これに対してもらえる付加年金は、40年(480月)に200円を掛けて、96,000円。つまり、65歳から国民年金をもらいはじめてたった2年で元が取れる計算です。
本体の国民年金は、元を取るのに約8年掛かりますので、どれだけリターン率がいいかお分かりいただけると思います。ただ、惜しいのは付加年金が1人当り400円しか付加保険料を掛けられないということ。でも、国民年金第1号被保険者なら入らない手はないと思います。
付加年金に加入できる人
付加年金に加入し、付加保険料を払える人は、次に該当しない国民年金の第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者です。
- 65歳以上の特例の任意加入被保険者
- 国民年金第2号被保険者
- 国民年金第3号被保険者
- 国民年金基金の加入員
1は、もともと65歳以上の任意加入被保険者というのは、年金増額目的ではなく、受給権確保目的のためだけに認められたものであり、もらえる年金を増やしたいという付加年金の趣旨とは反するものだからです。2は、厚生年金という2階部分の年金がありますし、付加年金が国民年金独自の制度だと考えると対象外なのは当然です。3は、第3号被保険者が保険料を払わずに国民年金に加入できますので、それ以上の増額までは必要ないということでしょうか。
※第1号被保険者で農業者年金の被保険者は、もともと付加年金に強制加入です。(2007.5.16 一部訂正いたしました)
そして、第1号被保険者で国民年金の加入員の他、付加保険料を納付できない人たちは次の通りです。
- 国民年金の法定免除、申請免除、学生免除など、保険料を納付することを免除されている人。
- 半額免除等、国民年金の一部の支払いを免除されている人
1と2は、国民年金の保険料を免除しているのに400円だけ払って年金を増額させるというのが不自然なので付加年金対象外。3は、付加年金と同じく将来の年金の増額目的である国民年金基金は、同じ趣旨のものであるため二者択一で選択です。
付加年金は国民年金基金と同時に入ることはできませんので、自営業の社長などでお金に余裕があり、節税対策を考えるのなら国民年金基金を、お金にゆとりはないけれど将来の年金を少しでも増やしたいという方は付加年金に加入するということになるでしょう。
付加保険料の納付
付加保険料は毎月400円です。
そして、第1号被保険者や65歳未満の任意加入被保険者の保険料を納付した月についてのみ付加保険料は納付できます。国民年金の保険料と共に前払い(前納)することもできます。しかし、追納の場合に付加保険料を支払うことはできません。もっとも、追納は免除を受けていたということですから、その期間の分は付加年金に加入できません。
付加年金の加入期間
国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者は、社会保険長の申し出て、いつでも付加保険料を納付する者となることができます。反対に、付加年金の加入を抜けることも自由で、加入と同様にいつでも付加年金保険料を納付しないものとなることができます。
申し出をした場合は、申し出をした日の属する月の「前月以後」の各月にかかる保険料につき、付加保険料を納付するものでなくなります。ややこしい言い回しですが、国民年金の保険料と同様に、付加保険料も納付期限が翌月末日なので、付加年金やめるときは、まだ前月分の納付期限が到達する前ということで、その分の付加保険料は払う必要がないというわけです。
ただし、付加年金をやめる当月に、すでに前月納付分の国民年金ならびに付加年金の保険料を払った後の場合は、その分は取り消すことができず、付加保険料支配済みとしてカウントされます。前納した場合も同様です。
また、国民年金基金に加入したことによって付加年金の加入をやめるときは、すでに納付した付加保険料やすでに前納した付加保険料があった場合でも、国民年金基金に加入した月以後の分については付加保険料を納付するものでない者となることができます。そうしなければ、付加保険料と国民年金基金の掛け金の2重払いになってしまいますので当然ですね。
付加年金をやめる
付加年金に加入し、付加保険料を払うことになった人が、次のいずれかに該当したときは、通常やめるときと同様に社会保険庁長官に付加年金をやめることにつき申し出をしたものとみなされます。
- 納付期限までに付加保険料を納付しなかったとき
- 国民年金基金の加入員となったとき
1は、その納付期限の日を申出の日とみなされ、2は、国民年金基金の加入員になった日を申出の日とみなされます。
よく聞く勘違い
今まで年金を滞納していた人が、将来の年金のために過去2年間、または免除期間の追納分をまとめて支払おうという時に、「付加年金も一緒に払っておくか」と思うようなことがあります。しかし、すでにご説明したとおり、付加年金の加入は申出をした月からです。残念ながら過去の分について付加保険料を納めることはできませんので、申し出をした月からコツコツと400円を払い続けていくしかありません。