国会議員は一般の人とは違う年金の歴史があります。昭和55年3月までの期間は国民年金に入ることすらできず、同4月から昭和61年3月までの期間は未加入でも法的に問題があるわけではないのです。
国会議員の年金変遷
国会議員の未納3兄弟と言われていたのも古い話となりました。あの当時、私たちの周りの会話の中では「未納」「未加入」という言葉が混在して使われておりましたが、実際はどのようになっているのでしょうか。
適用除外、任意加入、強制加入へ
国会議員の国民年金は、自営業者のように年金創設時からずっと強制加入というわけではありませんでした。昭和36年の4月に国民年金が誕生してから昭和55年3月までは国民年金には適用除外、昭和55年4月から昭和61年3月までは国民年金に任意加入。
厚生年金、共済年金が国民年金と統合した昭和61年4月から、ようやく国会議員も国民年金に強制加入となりました。ですので、今までまったく国民年金の保険料を払ってこなかった国会議員も、すべてが「未納」というわけではなく、法律的に問題なのは昭和61年4月からの期間だけなのです。
昭和55年4月から昭和61年3月までの任意加入も、道義的にみて国民年金に任意加入すべきだったとの声もありますが、国会議員が入る議員年金は国民年金とは関係なく支給されるものですし、当時は職種によって年金が別れていたという背景があります。
自営業は国民年金、会社員は厚生年金、公務員は共済年金という、一見すると今と同じですが、当時はそれぞれの年金が別に運用されていたのです。厚生年金加入者が国民年金の第2号被保険者ということや、第2号被保険者の配偶者が第3号被保険者になるというものは年金の1階部分が統合した昭和61年4月から出てきたものです。
とにもかくにも、職種が違えば入る年金が違っていたという背景によって、国会議員は議員年金だけに入っていればよいという風潮は当然あったと思います。悲しいかな、議員年金に比較すれば国民年金は無視しうるレベルの年金ですので。
問題は昭和61年4月からの未納
昭和61年4月からは国会議員も国民年金に強制加入となりましたから、法律的にも道義的にも未納は許されません。法律を作る立場の人間が、「法律を知らなかった」「うっかりしていた」というのは言い訳にもなりませんが、「議員年金に入っていれば、同時に国民年金の保険料も払っていると思っていた」という議員がいたように、制度そのものが複雑という問題もあります。
しかし、年金法を作るのも議員の仕事なのですが…