国民年金の給付を受ける権利は、原則的に他人に譲り渡したり、担保に供したり、差し押さえたりすることができないことになっています。
国民年金法第24条(受給権の保護)
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
解説…担保に供することができるのは、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金すべて可能ですが、法律で決められた形でしか担保に供することはできません。厚生年金と同様に認められるのは年金を現在受けている方が、独立行政法人福祉医療機構を利用することだけです。最寄りの金融機関でも独立行政法人福祉医療機構代理店になっている場合がありますので、そこでも手続ができます。
差押さえができる場合は老齢基礎年金、付加年金、脱退一時金を受ける権利だけで、国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえることができるとされています。社会保険労務士試験を受ける方以外は関係ないですが、「給付」を受ける権利であって、厚生年金のように「保険給付」を受ける権利ではないという言葉の違い、または差押さえができるのは「年金給付」を受ける権利ではなく、老齢基礎年金、付加年金、脱退一時金に限るという点に若干の注意が必要です。
考え方としては、差押さえに対して「お金を」押さえるというよりも、権利を押さえて本人にはその権利を行使させないで、その権利でお金を徴収するという流れです。なお、差押さえは限定列挙ですのでお間違えのないように。