国内在住の人の国民年金の加入には国籍要件がないため、短期で在留する外国人は、国民年金保険料が掛け捨てになってしまう可能性があります。そこで、払った保険料を少しでも無駄にしないための制度が脱退一時金です。
国民年金の脱退一時金の概要
脱退一時金制度は厚生年金にもありますが、国民年金の脱退一時金は、純粋に国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間(半額免除期間を含む)で計算されます。そして年金制度に加入した短期在留外国人が、何も給付を受けずに帰国した場合に脱退一時金が支給されるのです。
脱退一時金の支給要件
脱退一時金の請求の日の前日において、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間にかかる保険料納付済期間の月数と保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数とを合算した月数が6月以上である日本国籍を有しない者(被保険者をやめた人)が、老齢基礎年金等の受給資格期間を満たしていないときは、脱退一時金の支給を請求することができます。ただし、次にあげるいずれかに該当するものは、脱退一時金を請求することができません。
- 日本国内に住所を有する時
- 障害基礎年金その他政令で定める給付の受給権を有したことがあるとき
- 最後に被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していたものにあっては、同日後はじめて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して2年を経過している時
- 国民年金法の年金給付に相当する給付を行うことを目的とする外国法令の適用を受ける者または当該外国法令の適用を受けたことがある者であって政令で定めるものであるとき。
1は、あくまで国に帰る話だからです。国民年金に任意脱退してもすぐにもらえる話ではありません。2は、掛け捨てになっていないので脱退一時金は支給されません。3は、時効みたいなものです。請求期限です。4は、年金通算協定の話です。日本からドイツ、そして日本に戻る時、またはドイツから日本、そしてドイツに帰るときなど、その他にも協定を結んだ国はあります。
脱退一時金の額(2007年度)
国民年金の脱退一時金の額は、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間にかかる請求日の前日における保険料納付済期間の月数と、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数とを合算した月数に応じて、それぞれ次の額となります。(つまりは保険料納付の実期間を見るので、全額免除は入ってきません)
- 6月以上12月未満=40,740円
- 12月以上18月未満=81,480円
- 18月以上24月未満=122,220円
- 24月以上30月未満=162,960円
- 30月以上36月未満=203,700円
- 36月以上=244,400円
払った国民年金保険料の半額を脱退一時金として返還するという形です。