2007年10月17日に経財諮問会議が公表した、2025年度に「消費税17%」になりうる試算。正確には、医療・介護など社会保障給付費を消費税でまかなう場合、税率は最悪17.4%まで上がるというものですが、正直いまいち実感が沸かないと思います。そこで、日刊ゲンダイ2007年10月20日発売号に掲載されていた年収別「家計直撃リスト」から、17%になったときの消費税の負担増額金額を見ていこうと思います。
17%の消費税で、どれだけ負担が増えるのか
このデータは、日刊ゲンダイが、総務省の2006年家計調査をもとに年収別の年間消費支出(ここでいう年間消費支出には消費税5%を含みます)から計算したものです。
- 年収400万円なら=33万4314円の負担増額
- 年収600万円なら=40万8955円の負担増額
- 年収800万円なら=49万5298円の負担増額
- 年収1000万円なら=57万3166円の負担増額
2011年度には消費税7.5%の試算
財政再建の指針となるプライマリーバランスを2011年度に黒字化するには消費税率で2.5%程度、つまり現行の5%から7.5%までの引き上げが必要ということです。
そこで、同じように消費税が8%になった時の負担増を見てみます。
- 年収400万円なら=8万3578円の負担増額
- 年収600万円なら=10万2238円の負担増額
- 年収800万円なら=12万3824円の負担増額
- 年収1000万円なら=14万3291円の負担増額
消費税は、収入の低い人ほど負担が重くのしかかりますので、現在ギリギリで生活している年金生活者はこれから本当に大変です。資産運用をせずにタンス預金をしている人も多いかと思いますが、これからの時代はむしろ「お金を寝かしておく」ことがリスクになるのかもしれません。
国債などのことも考えたら・・・
2004年前後に金融コンサルタントの木村剛先生の経済セミナー(新宿)において、「本気で国債を減らそうと考えるならば、現時点でも消費税20%~25%はないと厳しい(記憶の関係で表現は正確でないかもしれません)」というようなことをお話されていましたが、今回の2025年度の消費税の試算を見て、いよいよ現実味を帯びてきたと感じました。
それと共に、本当にそれだけ?もっと苦しめられるのでは?という思いもあります。というのも、普通国債に加え特殊法人、財政投融資等普通国債でない借金まで入れると合計1000兆円もあって、過去累積分の金利負担だけでも大変な金額である上に、借金自体が雪ダルマ式に増え続けているからです。(借金を減らす方向で考えた場合の話。)
年金もかつては、いろいろ理由をつけては保険料の値上げと給付のカットを繰り返してきた歴史がありますが、消費税も「あとからやっぱり・・・」「予定通りに行かなくて・・・」となる可能性も高いのではないでしょうか。今の日本の現状を考えたら、今回のショッキングな試算すら低い見積もりに思えてなりません。
年金生活者はもっと厳しい「物価とマクロ経済スライド」
政府は毎年の物価上昇率を1%だと考えておりますが、マクロ経済スライドというしくみによって、年金生活者の年金は、その1%の物価上昇に対して0.1%しか上昇しません。つまり想定通りでいけば10年間で年金の実質的価値が約90%になってしまうことになるのです。
年金の実質的価値は下がり、消費税は上がり、食料品や物の値段は上がり、その他税金や保険料も上がり・・・ダブルパンチ、トリプルパンチは必至です。比較的年金給付水準の高い現在の年金生活者の方々も苦しいのに、今後年金給付水準が下がる若い人たちの老後はどうなってしまうのでしょうか?