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年金生活と少子化問題

「少子化のような次世代の問題よりも今の自分の暮らし」
年金生活を送る人にとって、少子化問題は年金、医療、介護、消費税などの問題と比べたら遠い話になるのかもしれません。しかし、現役世代が現在の高齢者を支えるしくみになっている現在の公的年金のしくみにおいて、年金と少子化問題は切っても切り離せない関係にあります。

今後、日本の人口に占める65歳以上の方の人口は、2020年頃には4人に1人。すでにマクロ経済スライドのしくみによって、現役世代の人口減少が年金給付額に影響を与えるしくみができていますし、年金制度の維持のために、消費税をアップして基礎年金の財源にまわすなど、現役世代同様に年金生活者のサイフからも財源を確保しようとする動きも出てきています。

そして、年金だけではありません。少子化はビジネスの停滞や衰退(特に子ども向け・若者向け市場)を招き、人口が減れば土地や建物への需要も減り、高齢者の方の資産価値も目減りします。高齢人口を支えるために税金もさらに上がるかもしれません。また、若者が日本に見切りをつけて海外で働くことを選択することも・・・その点若者よりもむしろ選択枝の少ない高齢者、特に職を持たない年金生活者にとって、少子化がもたらす影響は大きいものと考えられます。

少子化と超少子化

人口が維持される水準であるとされる、「合計特殊出生率2.08」の水準を下回るとき、これを少子化と呼びます。

また、合計特殊出生率が1.5を下回るとき、これを超少子化と呼びます。(1.3以下を超少子化と呼ぶとこもある。1.3はフランチェスコ・ビラーリ氏の定義。1.5はピーター・マクドナルド氏の定義。)

日本では1974年から当水準を下回り、2005年の合計特殊出生率は1.25、2006年の合計特殊出生率は1.32となっています。2006年の回復は一時的なものと見られ、日本は「超少子化」の国であるということができるでしょう。

出生率1.5を一度下回ると二度とこれを上回らない現実

世界の合計特殊出生率の動向によると、出生率が一度1.5を下回った国は、歴史的にみて再度1.5を上回ることはありません。(カナダとデンマークに極めて短期間の例外あり…ピーター・マクドナルド氏)

参考までに、2005年の世界の合計特殊出生率を見てみます。(出所:EU統計局および各国統計局。2007年12月12日第12回厚生政策セミナー「超少子化と家族・社会の変容~ヨーロッパの経験と日本の政策課題~」における講演資料53ページから)

【第1グループ】

  • 米国=2.05
  • アイスランド=2.05
  • ニュージーランド=2.00
  • フランス=1.94
  • アイルランド=1.88
  • ノルウェー=1.84
  • オーストラリア=1.82
  • フィンランド=1.80
  • デンマーク=1.80
  • 英国=1.80
  • スウェーデン=1.77
  • オランダ=1.73
  • ベルギー=1.72
  • ルクセンブルク=1.70
  • カナダ=1.60

【第2グループ】

  • スイス=1.42
  • オーストリア=1.41
  • ポルトガル=1.40
  • マルタ=1.37
  • ドイツ=1.34
  • イタリア=1.34
  • スペイン=1.34
  • ギリシャ=1.28
  • 日本=1.26
  • シンガポール=1.24
  • 台湾=1.12
  • 韓国=1.08
  • 香港特別行政区=0.97
  • 上海=0.60

上海は中国の1人っ子政策の影響が考えられます。

フランスは、子供を産めば産むほど所得税、住民税、不動産税が優遇されるしくみがあり、一時1.66まで落ち込んだ合計特殊出生率は2006年には2.00までに回復しています。10人に1人が4人以上子供を産んでいるということも、税の後押しが大きく寄与しているものと考えられます。

フランスの婚外子が初めて半数を超える

仏国立統計経済研究所が2008年1月15日に公表した人口統計では、フランスで2007年に生まれた子供のうち「婚外子」の割合がはじめて半数を下回り50.5%になりました。(朝日新聞2008年1月16日)

フランスでは、婚姻関係と同様の共同生活を送っている場合には、結婚しているものとほぼ同様の権利が与えられる「PACS(連帯市民協約)法」というものがあり、子供については親が婚姻関係にあるかどうかにかかわらず同じ権利が与えられます。(1970年代から)

「結婚はしたくないけれど子供は欲しい」・・・日本にもそのような人たちがデメリットをそれほど感じなくても済むような法制度等があっても良いような気がします。

少子化の要因

少子化になっている要因は多様な角度で考えることができますが、人口学的には次の点が上げられます。

  • 晩婚化・・・経済的な事情等で親元で暮らす期間が長くなり、結婚時期を遅らせる傾向
  • 晩産化・・・出産する時期を遅らせる傾向(テンポ効果・タイミング効果などという)
  • 2人目3人目を生まなくなった

少子化対策は総合的な取り組みが必要

少子化を食い止め改善させるためには、ピンポイントの対策だけでは足りません。働き方の問題、経済的負担の問題、安心・安全の取り組みなど総合的な取り組みが必要です。

第12回厚生政策セミナーにおける読売新聞社会保障部、小畑洋一氏「超少子化と新聞報道」から、『「少子化対策」にとどまらない総合的な政策』を引用いたします。

  • 基本=保育、手当、育休
  • 仕事と育児の両立=ワークライフバランス
  • 若者の就労促進=教育、訓練
  • 安心して産む=産科、小児医療
  • 安心して暮らす=治安、環境保護
  • 快適に暮らす=住宅、都市つくり

なるほど少子化対策を考える上で欠かせないものばかりです。 「これが決め手」というものは無いのですね。

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