2008年3月30日の日経新聞、SUNDAY NIKKEI 健康情報読み解く「長寿と仕事の関係は~早期退職悪影響も~」に、長生きと仕事の有無に関するおもしろい話が載っていました。早期に仕事を引退した人と仕事を続けている人ではどちらが長生きなのでしょうか?
また、違う資料ですが、血液型と長寿との関係・・・
さらに、自営業など公的年金の「第1号被保険者」と、会社員など「第2号被保険者」では、どちらが長寿なのか、ということにも触れてみようと思います。
仕事と長生きの関係
2008年3月1日に日経新聞から。
米国専門誌に仕事と長寿とのかかわりに関するデータが掲載された・・・研究はギリシャ人の男女17,000人を調査対象とし、1994年から1999年の時点で「退職している」か「仕事をしているか」を訊ね、その後平均7.7年間の追跡調査により生死や死因を確認しました。
結果は・・・調査開始時点においてすでに退職していた人たちは、仕事をし続けていた人たちと比べて、同年齢でも死亡率が1.51倍と高かった。退職者の中でも退職年齢が低い人ほど死亡率も高くなることが判明。
さらに別の研究でも・・・米石油大手シェルの社員を調査した2005年の別の論文においても55歳で早期退職した人たちは、65歳で定年退職した集団よりも死亡率が1.37倍高かったことが判明。
※ただし・・・一応調査開始時点で大病を患っていた人を除外して分析しているものの、「早期退職」が健康の悪化によるものかどうかという区別はなされていないため、その点考慮する必要があるとしています。(「早期退職」したことが健康の悪化を招いたのか、そもそも健康が悪化している人が「早期退職」を選び、ゆえに死亡率も高いのか・・・ということは不明。)
血液型も長寿に関係が!?
ニッセイ基礎研REPORT 2007.10 REPORT2「長寿科学研究からみる予防行動と健康指導の新たな視点~より豊かな超高齢社会の実現に向けた社会学的考察~」によると、長生きの要因には、
- 個人的要因
- 生活・環境的要因
があり、個人的要因の中には血液型についても一定の傾向が見られるとしています。以下、同レポート10ページから引用します。
『血液型に関する調査結果もある。日本人のABO血液型頻度はA型4割、O型3割、B型2割、AB型1割であるが、これに対して百寿者(269名)はA型34%、O型29%、B型29%、AB型8%といった調査結果もあり、この中ではB型が長寿傾向の可能性が高いと言われている(広瀬ら1992年)。(原文まま)』
また、生活・環境的要因は、
- 生活習慣(食事・運動・睡眠・飲酒・喫煙等)
- 社会環境(人間関係・社会参加)
- 生活・社会環境がもたらす心理的要因(生きがい、自立意欲、生活満足度)
に分かれていますが、興味深いのは社会環境(人間関係・社会参加)における仕事時間について触れられた部分です。以下同レポート11ページより引用します。
『各都道府県別の百寿者率と地域の社会インフラ等との関係では、平均気温、老人福祉費割合、民生委員数、病院数、医師数、余暇時間とは有意な正の相関を、仕事時間とのみ負の相関を認めた(岡本ら1995年)。(原文まま)』
米国専門誌、ギリシァでの研究結果と合わせて考えると、長寿との関係については、仕事はしている方がいい。しかしほどほどに・・・ということになるのでしょうか。
公的年金「第1号被保険者」と「第2号被保険者」の寿命の違い
自営業者や農業の人たちの「第1号被保険者」と、会社員や公務員の「第2号被保険者」とでも、平均寿命に差があります。
『公的年金の不信・不安・誤解の元凶を斬る!坪野剛司氏著(日本法令)』の87~88ページ「保険集団で違う平均受給期間」より引用します。
『会社員・公務員の人たちである第2号被保険者の平均寿命と、自営業・農家の人たちなど第1号被保険者のグループの平均寿命には、各年齢とも違いがあります。保険集団によっては死亡率に違いがあるのは常識です。日本の年金に関する統計では、第1号被保険者の死亡率と会社員・公務員である第2号被保険者の死亡率、被扶養配偶者である第3号被保険者の死亡率とは明らかに差があります。大ざっぱな数字を挙げて言うと、自営業者・農家など第1号被保険者の死亡率は、会社員・公務員など第2号被保険者の死亡率より2割ぐらい高いという統計結果があります。(原文まま)』
これは非常に興味深い事実で、「厚生年金が国民年金を一方的に援助している」という基礎年金の拠出金にまつわる話も、一概にそうとは言い切れない・・・ということです。
以上、「仕事」「血液型」「公的年金の保険集団」についての長寿との関係でした。