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高齢者生活保護世帯数の推移

高齢者の生活困窮者急増か・・・
2008年金融危機の影響は、経済危機、生活危機へと波及。
2008年10月時点の生活保護受給世帯総数は114万件を超え、中でも低所得の単身高齢者の生活保護受給世帯数が急増している模様です。

高齢者生活保護世帯数の推移(表)

国立社会保障・人口問題研究所の「生活保護」に関する公的データ一覧(2008年10月6日更新分)の『世帯類型別被保護世帯数及び世帯保護率の年次推移』より、高齢者世帯の箇所を中心にまとめてみると、次の表にようになります。

なお、生活保護受給世帯の分類は、
当該データにおいては

  • 高齢者世帯…男女ともに65歳以上の者のみで構成されている世帯もしくは、これらに18歳未満の者が加わった世帯(平成17年度からの定義)
  • 母子世帯…現に配偶者がいない(死別、離別、生死不明及び未婚等による。)65歳未満の女子と18歳未満のその子(養子を含む。)のみで構成されている世帯(平成17年度からの定義)
  • 傷病者世帯
  • 障害者世帯
  • その他の世帯

に分かれていますが、
そのうち、構成比の箇所でわかるように、
現在約半数を占めるのが高齢者世帯です。

年度高齢者被保護世帯数構成比対昭和50年度比被保護世帯総数
昭和50221,241世帯31.4%100.0%704,785世帯
昭和62236,685世帯33.2%107.0%712,302世帯
昭和63234,017世帯34.4%105.8%679,510世帯
平成元233,370世帯35.7%105.5%653,414世帯
平成2231,609世帯37.2%104.7%622,235世帯
平成3232,311世帯38.8%105.0%599,482世帯
平成4235,119世帯40.2%106.3%584,821世帯
平成5240,690世帯41.1%108.8%585,086世帯
平成6248,419世帯41.8%112.3%594,439世帯
平成7254,292世帯42.3%114.9%600,980世帯
平成8264,626世帯43.2%119.4%612,180世帯
平成9277,409世帯44.0%125.4%630,577世帯
平成10294,680世帯44.5%133.2%662,094世帯
平成11315,933世帯44.9%142.8%703,072世帯
平成12341,196世帯45.5%154.2%750,181世帯
平成13370,049世帯46.0%167.3%803,993世帯
平成14402,835世帯46.3%182.1%869,637世帯
平成15435,804世帯46.4%197.0%939,733世帯
平成16465,680世帯46.7%210.5%997,149世帯
平成17451,962世帯43.5%204.3%1,039,570世帯
平成18473,838世帯44.1%214.2%1,073,650世帯
平成19497,665世帯45.0%224.9%1,105,275世帯
平成20***1,140,000世帯超

注1:世帯数は1ヶ月平均です。

注2:対昭和50年度比は、高齢者生活保護世帯数の対50年度比の数値です。参考までに平成18年度での各分類の対50年度比を見てみると、「高齢者世帯=214.2%」「母子世帯=131.9%」「傷病者世帯=84.4%」「障害者世帯=38.8%」「その他の世帯=120.9%」となっており、高齢者世帯の生活保護受給数の伸び具合が大きいことがわかります。

注3:平成19年度のデータは厚生労働省の「平成19年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)結果の概況」から高齢者生活保護世帯数および被保護世帯総数の該当箇所を抜き出し、構成比と対昭和50年度比はその数値を元に自分で計算したものです。

注4:平成20年度の被保護世帯総数「1,140,000世帯超」は、日本経済新聞2009年(平成21年)1月19日号の2008年10月時点において114万件を超えたとの記事によるものです。リーマンショックが2008年9月15日ですので、派遣切りや解雇・倒産など雇用不安の問題が深刻化した11月と12月を入れると年度合計は・・・?

高齢者世帯生活保護受給開始理由1位と2位の推移

高齢者世帯の生活保護受給開始の理由として平成18年のデータを見てみると、1位は「貯金等の減少・喪失」で1,096世帯、2位は「世帯主の傷病」で810世帯となっており、高齢者世帯受給開始総数3774世帯(平成18年度)の50.5%を占めています。

しかし、かつての高齢者世帯の生活保護受給開始理由の1位は「貯金等の減少・喪失」であり、昭和61年では「貯金等の減少・喪失723世帯」が「世帯主の傷病259世帯」の2.79倍も多かったのです。

ここでは、高齢者世帯の生活保護受給開始理由(1位・2位)の推移を見ていきます。

※世帯数のデータは国立社会保障・人口問題研究所の「生活保護」に関する公的データ一覧(2008年10月6日更新分)の「保護開始世帯数(理由、世帯類型、構造)」から抜粋。比率の箇所は独自に計算したもの。

貯金等の減少・喪失(高総数比)世帯主の傷病(高総数比)高総数
昭和61年259世帯(16.4%)723世帯(45.9%)1572世帯
昭和62年266世帯(16.6.%)739世帯(46.3%)1594世帯
昭和63年290世帯(18.3%)741世帯(46.8%)1582世帯
平成元年234世帯(15.9%)755世帯(51.6%)1463世帯
平成2年189世帯(14.5%)747世帯(57.4%)1301世帯
平成3年207世帯(15.4%)758世帯(56.6%)1337世帯
平成4年207世帯(12.6%)966世帯(58.9%)1638世帯
平成5年233世帯(12.4%)1109世帯(59.1%)1874世帯
平成6年250世帯(12.1%)1132世帯(54.8%)2064世帯
平成7年286世帯(13.6%)1153世帯(54.9%)2099世帯
平成8年325世帯(14.6%)1122世帯(50.4%)2223世帯
平成9年484世帯(19.6%)876世帯(35.6%)2457世帯
平成10年567世帯(18.1%)1126世帯(36.1%)3116世帯
平成11年621世帯(18.3%)1000世帯(29.4%)3391世帯
平成12年725世帯(20.2%)798世帯(22.3%)3575世帯
平成13年724世帯(19.9%)826世帯(22.7%)3635世帯
平成14年921世帯(22.2%)※2位→1位909世帯(21.9%)4137世帯
平成15年1153世帯(24.9%)925世帯(20.0%)4615世帯
平成16年1103世帯(26.0%)845世帯(19.9%)4235世帯
平成17年987世帯(27.4%)689世帯(19.1%)3600世帯
平成18年1096世帯(29.0%)810世帯(21.4%)3774世帯

注1:「高総数」は、高齢者世帯の保護開始世帯数の年ごとの総数です。(スペースの都合で短縮)

注2:「高総数比」は、小数点第2位以下を切り捨てたものです。

日本の人口の高齢化により、高齢者世帯の生活保護受給開始の数も年々増えてくることは想定できるのですが、「世帯数の傷病」による件数があまり変化を見せていないのは、医療技術の進化等も影響しているのでしょう。

対して「貯金等の減少・喪失」は、バブル崩壊後の厳しい経済環境の中、高齢化に合わせるように件数が伸びています。(平成14年から平成19年までのいざなみ景気は、期間は長かったものの年平均実質GDP成長率は2%程度でしかなく、しかも企業は労働分配率を低下させたため、私たち庶民にまで恩恵が回ってこなかった。2001年~2007年でみると、株主配当は3.8倍、役員報酬は1.9倍、しかしながら従業員1人あたりの人件費はマイナス7%・・・。)

生活保護受給者は「一人暮らし高齢者」が断然多い

生活保護を受ける高齢者世帯のうち1人世帯である割合は、昭和60年当時に82.3%であったものが、平成19年には89.1%とさらに増加。近年では横ばい傾向であるものの、一人暮らしの高齢者がいかに弱い存在であるのかが、データからも推測されます。

平成18年高齢者白書「高齢者世帯(家族類型別)及び一般世帯総数の推計」によると、推計値で単身高齢者の数が、

  • 2005年=386万世帯
  • 2010年=470万世帯
  • 2015年=566万世帯
  • 2020年=635万世帯
  • 2025年=681万世帯

となることが見込まれていますので、今後ますます高齢者世帯の生活保護受給数が増加してくるものと思われます。

暮らしぶりは?

以前、生活保護を受ける70歳以上の高齢者には月額1万8千円の「老齢加算」が上乗せで支給されていましたが、2006年にこの仕組みは廃止となりました。

高齢者の生活保護受給者のほとんどは一人暮らしですので、支え合う人が居ない分老齢加算の廃止で暮らしぶりが厳しくなることは必然で、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)の調査(2008年1月24日発表の「生活実態調査」)では、老齢加算廃止後、対象者のうち2割の世帯で1日の食事回数を2回以下にしたとのことです。(生活保護/老齢加算廃止で困窮/民医連調査 5割が食費切り詰め

なお、生活保護認定の要件や金額、年金との比較などの話はこちらです。

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