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公務員(07年度)と大手・中小企業(08年)の退職金平均

民間企業が大不況の波にさらされる中、民間労働者と公務員の雇用待遇の違いが今まで以上に鮮明になってきています。

賃金格差、年金格差、福利厚生の格差など様々な格差が指摘されますが、ここでは「退職金」に注目し、民間と公務員の退職金の差異を見てみます。

退職金の平均の資料元と処理方法

今回使用した退職金平均に関するデータは3つです。

1つ目は、総務省のホームページ内にある公務員に関する退職金データ
退職手当の支給状況・平成19年度退職者(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jinji/pdf/sikyu_jokyo19.pdf)』(国家公務員退職手当法の適用を受けて平成19年中に退職した者について各省庁等からデータの提供を受け、総務省人事・恩給局で集計した結果による)

2つ目は調査対象の企業規模から大手企業の退職金データと判断できる、(社)日本経済団体連合会のホームページにある
「2008年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」の概要(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/029.pdf)

3つ目は都内300人未満の中小企業の退職金データで、東京都産業労働局のホームページ内にある
平成20年版 中小企業の賃金・退職金事情(http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/monthly/koyou/chincho_20/index.html)

それぞれ調査対象や処理方法などが異なりますので、比較表作成にあたっては個人的判断においてデータの選択・処理を行っています。

資料元の使用データ箇所は次の通りです。

  • 公務員は、上記資料『表3 年齢別退職者数及び平均退職手当』で、「常勤職員」の年齢別定年退職・勧奨退職の平均退職手当のデータを示したものを使用。60歳定年は『図表2 60歳定年退職金-全産業-』から管理・事務・技術の総合職データを使用。
  • 大手企業は、上記資料『図表1 標準者退職金の支給額および支給月数-総額-』で、調査対象企業の従業員規模は500人以上が206社(77.7%)、500人未満59社(22.3%)。「管理・事務・技術労働者」の学歴・年齢別会社都合退職の退職金平均データを示したものを使用。
  • 中小企業は、上記資料『第12表-1 モデル退職金(退職一時金のみ)調査産業計』で、300人未満の企業の学歴・年齢・退職理由ごとの退職金平均データを示したものを使用。(事務系・技術系や総合職・一般職などの区分はなし)
大手企業の箇所は、調査対象の77.7%が従業員500人以上の企業であり、従業員500人未満の22.3%にしても一定数は500人近辺の企業が含まれる等との推測から、個人的に大手企業のデータとして判断したものです。

当該データについて、資料元が「大手企業のデータ」としているわけではない点はご留意ください。大企業の定義についてはこちら(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

2つの比較表(「高校卒・大学卒」の退職金平均)

作成した比較表は最終学歴「高校卒」「大学卒」用の2つの退職金平均ですが、公務員についての「学歴別」データはありませんので同じものを2つの表に用いました。

退職理由は、資料の関係で「自己都合」は取り上げず、民間企業は「会社都合退職」、公務員は「定年」と「勧奨」のみのデータの比較です。

退職金の平均額については、3つの資料元ともに千円単位での表記でしたが、ここでは千円単位を切り捨てて万単位にて表記しています。

公務員・大手・中小企業の退職金平均比較表「高校卒」

最終学歴が高校卒の人の年齢区分別の退職金平均比較表です。
大手企業・中小企業は「会社都合」のデータで、公務員のデータは「大学卒」と共通です。

年齢公務員(勧奨)公務員(定年)年齢大手企業年齢中小企業
20歳未満19歳21万円19歳11万円
20歳~24歳21歳
23歳
54万円
93万円
21歳
23歳
25万円
46万円
25歳~29歳28歳229万円28歳120万円
30歳~34歳183万円
(2人)
33歳429万円33歳222万円
35歳~39歳699万円
(15人)
38歳716万円38歳354万円
40歳~44歳1556万円
(39人)
43歳1090万円43歳522万円
45歳~49歳1931万円
(81人)
48歳1515万円48歳704万円
50歳~54歳3166万円
(452人)
2316万円
(4378人)
53歳1971万円53歳875万円
55歳~59歳3066万円
(3120人)
3012万円
(694人)
55歳
57歳
2110万円
2220万円
55歳984万円
60歳以上4890万円
(119人)
2477万円
(7270人)
60歳
60歳定年
2334万円
2302万円
定年1130万円

関連外部リンク:国家公務員の定年一覧(主なもの)
総務省(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jinji/jinji_04d.html)

公務員・大手・中小企業の退職金平均比較表「大学卒」

最終学歴が大学卒の人の年齢区分別の退職金平均比較表です。
大手企業・中小企業は「会社都合」のデータで、公務員のデータは「高校卒」と共通です。

年齢公務員(勧奨)公務員(定年)年齢大手企業年齢中小企業
20歳~24歳23歳25万円23歳14万円
25歳~29歳25歳
27歳
65万円
118万円
25歳
27歳
33万円
61万円
30歳~34歳183万円
(2人)
32歳296万円32歳152万円
35歳~39歳699万円
(15人)
37歳552万円37歳283万円
40歳~44歳1556万円
(39人)
42歳923万円42歳452万円
45歳~49歳1931万円
(81人)
47歳1411万円47歳657万円
50歳~54歳3166万円
(452人)
2316万円
(4378人)
52歳1953万円52歳889万円
55歳~59歳3066万円
(3120人)
3012万円
(694人)
55歳
57歳
2231万円
2353万円
55歳1026万円
60歳以上4890万円
(119人)
2477万円
(7270人)
60歳
60歳定年
2490万円
2417万円
定年1225万円

少ない中小企業の退職金、不安な年金生活

60歳からの平均余命(男性22年、女性28年)に老後に必要な最低生活費(月額最低24万円、ゆとり37万円)を掛けると準備すべきお金の目安が計算できますが・・・日本では労働者の7割が中小企業で働いているので、苦しい年金生活を送る高齢者がますます増加しそうです。(高齢層・若年層の貧困化同時進行のため、子どもがいても援助の期待は?むしろ年金で子ども生活を支える逆転現象も。)

しかも、これは現時点の退職金と年金の計算だけでは済みそうもありません。大不況で世間の悲鳴の声は政治に届いているハズなのですが、無駄遣いの削減につながる公的改革の歩みは遅く、「官」の特権・既得権・利権構造は守られ・・・

官の改革に関する外部リンク
【ダイヤモンド・オンライン経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”】
官僚の手当新設と、節度なき公的資本注入 呆れた麻生経済対策の中身
(http://diamond.jp/series/machida/10056/)
公務員改革嫌いの麻生総理を待望する官邸官僚の高笑い
(http://diamond.jp/series/machida/10043/)
公務員制度改革を無力化 漆間副長官の野望に屈した自民党
(http://diamond.jp/series/machida/10070/)
福田政権、官僚に敗北!骨抜きの独立行政法人改革
(http://diamond.jp/series/machida/10010/)

関連内部ページ
中小企業・中高年サラリーマンの退職金の平均
(http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2009/04/post_163.html)
「退職金」相場急落で苦しくなる後世代の年金生活
(http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2008/10/post_156.html)

このままでは、社会保障費用(年金・医療・介護等)のための消費税増税の引き上げ幅は大幅に増加し、少ない退職金・年金しかもらえない高齢者の暮らしを破たんさせかねません。

もちろん、現在ではありえない話ですが、財政が維持できないものとなれば年金給付額の「大幅」カットもありえない話ではなくなります。(マクロ経済スライドという年金カットの仕組みは既に導入済み)

それにしても、公務員と中小企業(しかも都内)の退職金平均の差がこれほど大きなものだとは・・・まさに官民格差です。

公務員の自己都合退職者数の多さ

最後に、関連情報として、国家公務員の自己都合退職についても触れておこうと思います。

まずは、国家公務員の常勤職員に関する退職金のデータ(上記同様に資料元「表3 年齢別退職者数及び平均退職手当」)からピックアップした次の表をご覧ください。

年齢勧奨定年自己都合
20歳未満0人0人744人(11万円)
20歳~24歳0人0人2899人(22万円)
25歳~29歳0人0人3266人(48万円)
30歳~34歳2人(183万円)0人2372人(132万円)
35歳~39歳15人(699万円)0人1599人(271万円)
40歳~44歳39人(1556万円)0人998人(553万円)
45歳~49歳81人(1931万円)0人864人(984万円)
50歳~54歳452人(3166万円)4378人(2316万円)880人(1400万円)
55歳~59歳3120人(3066万円)694人(3012万円)1149人(1771万円)
60歳以上119人(4890万円)7270人(2477万円)138人(1585万円)
合計3828人(3084万円)12342人(2450万円)14909人(393万円)
退職時平均年齢56.7歳57.6歳33.7歳

右の列が「自己都合退職」です。
今回、公務員のデータを調べるまでは、これほど自己都合退職者数が存在するとは思いもしなかったのですが、実際には平成19年度中だけでも20代、30代を中心に合計14909人もの自己都合退職者が存在したのです。(繰り返しになりますが、国家公務員の常勤職員のみのデータです。)

わざわざ難しい国家公務員試験を受験して、苦労の末国家公務員になれた優秀な人たち。

当然、給与や年金、退職金など待遇面などの事前知識はあり、退職しなければ一生安泰ということも理解していたであろう人たちなのですが・・・

以下、中川秀直氏著『官僚国家の崩壊』より、若手官僚が辞めていく背景が窺える箇所を抜粋します。(序章P21~P22)

『私は、これまであまたの優秀な官僚に出会い、切磋琢磨してきた。いまの個々の官僚も優秀で、働き蜂のように懸命に仕事に取り組んでいる事実は変わらない。ただ、残念なことに、最近特に、「省あって国なし」で省利・省益のためだけに奔走し、先輩や自分の天下り先確保だけに汲々とする官僚が目につくようになった。

ほとんどの官僚希望者は、日本をよりよい国にしようという志に燃えて各省に入ってくる。しかも、みな飛び抜けて優秀な人材ばかりだ。そんな彼らがなぜ、志を失ってしまうのか。

22歳で硬直した組織に参加した人間は、どんなに優秀でも、可能性を奪う方向にトレーニングされ、入省時を頂点としてどんどん頭が固くなっていく。それに耐えられない若手は次々と組織を飛び出す。結果、いっそう優秀な人材が組織にいなくなるという悪循環に陥っているのだ。官僚のレベル低下はむしろ政治の問題といえるだろう。』

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