政と官が共に起こしたといえる「消えた年金問題」と「崩壊寸前の年金制度(何も手を打たない場合)」。私たちの年金がいまだ解決の道が見えない中、国会議員の方々は自分たちの退職金のあり方についての検討を始めておりました。
2008年1月7日東京新聞より。
『衆院では民主党が昨年12月、議院運営委員会で退職金の在り方について検討するよう提案。議運委は、支給の是非についての議論着手を決め、まず各会派が考え方をまとめることにした。
議運委の笹川尭委員長は所属する自民党津島派の会合で「国会議員も勤労者だ。自分の立場でできることがあれば、泥をかぶってでもやりたい」と、退職金制度の導入に前向きな姿勢を示している。(ここまで引用)』
国民だけ痛みを、政官は温存?
国民に理解を求めたい。
国民にも我慢・協力をしてもらう。
このようなフレーズを多く聞いた2007年。
増え続ける社会保障費のために年金・医療等の負担増と給付減。さらには生きていくための最後のセーフティーネットである生活保護費まで削減されることに・・・
特に働く手段を持たない高齢者の方は、自分の力では状況を変えることができません。今でもギリギリの生活をしている方にとっては、より深刻な状況が待ち構えています。年金だけでは毎月の生活費が赤字になることが確実視される中、退職金が出ない人はどうやって生活していけばよいのでしょうか。
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しかし、国会議員は違います。
その昔国会法第36条「議員は、別に定めるところにより、退職金を受けることができる。」を土台に国会議員互助年金法を自分たちのために作り上げ、その年金は税金で7割を負担しなければ維持できないほどの充実したものでした。
その後、世論の反発もあり2006年4月に議員年金は廃止されましたが、今回また国会議員の退職金についての検討が開始されました。(議員年金の廃止・・・掛け金廃止でも、給付(一定削減)自体は残ります。)
退職金(年金になる可能性もある)の中身はまだ何も決まっていないと思われますが、この時期に検討を開始するという心持ちがなんとも悲しい気分にさせられます。
国会議員の年金
国会議員は国民年金に加入しています。
あまりに低い年金額だからなのか2004年には未納者の多さが表面化しましたが、国民(自営業者)はこれで生活していかなければならないのです。
国会議員の方の退職金制度がどのようなものになるのかは今後の注目ですが、例えば厚生年金と事実上同じ年金にするなどスッきりとした形で納得できる退職金のしくみにして頂きたいと思います。(一時金にしても年金にしても)
「呆れる議員特権」より議員の収入・特権
議員の方は、今優先して退職金の検討を開始しなければならないほど収入面で問題があるのでしょうか。元国会議員秘書 安倍力也氏著「呆れる議員特権」を参考に、その一部をご紹介いたします。
- 1.会社員の給料にあたる歳費が月に約130万円
- 2.1と、6月と12月に支給されるボーナス(期末手当)を合計すると、年間2230万円(2005年)
- 3.非課税で領収証も使いみちの報告も不要という「文書通信交通滞在費」が毎月100万円で、1と2と3の合計金額は年間3,430万円
- 4.議員個人にじかに振り込まれるものでないものの議員一人に対し「立法事務費(立法の調査研究の必要経費として会派に支給)」というお金が月に65万円
- 5.4と同じく「政党助成金」というお金が年間約1,000万円(額は政党による)
- 6.移動のための黒塗り公用車あり、JRなどの鉄道・バスが乗り放題、飛行機は月に4往復まで無料、東京の住まいとして豪華議員宿舎(家賃格安)
国会議員は国で最も重要な意思決定をする方々ですので、これら収入や特権が決して高いとは思いません。
しかし、年金問題をはじめ国の混乱招いた責任は、指導的役割にある政治家全体にあります。議員年金廃止で国民を納得させてから2年・・・廃止で決着したその当時の状況から、国の状況は良くなるどころかさらに深刻度合いが増しています。(「5000万件」も議員年金廃止後に表面化)
むしろ、結果責任をとるために議員にかかる歳費や特権が削られてもおかしくない状況にもかかわらず、逆に退職金制度の復活の話・・・(豪華議員宿舎建設の話も)
検討や議論をする時間にも私たちの税金が使われてしまうのですから、このような話は少なくとも国民の暮らしに目処がついてからにしていただきたいものです。(仮に議員1人につき3650万円が支払われるとしても1日1人10万円)
※ちなみに国会議員の議員年金は年間で給付が約30億円、国庫負担が20億円程度ですので、これを廃止したところで国の財政としてはほとんど影響がありません。今回の新たな退職金制度検討の話も、ムダの額云々よりも、この時期に検討を開始するという姿勢そのものが問題だと思います。
2008年1月19日日刊ゲンダイより
議員の退職金創設の検討につき、『全国の知事の平均約4,000万円(1期4年)、市長の約2,000万円が基準になる。』と報じています。